すると、そこには天井からぶらさがったロープで首をつっている小沢さんの姿があった。


小暮「みなさん、中に入らないでください。我々が調べますので。みなさんは1階のリビングに集まっててください。」


毛利「私も一緒に調べさせてください。」


小暮「あぁ、是非お願いいたします。」


コモン「僕もー!!」


毛利「ガキは下でおとなしく待ってろ!!」


コモン「チェッ。」


毛利、小暮とN県警の鑑識が調べ始めて30分が過ぎたころ、ようやくリビングに下りてきた。


小暮「みなさん、小沢さんは自殺です。これを見てください。」


そこには、小沢さんが書いたと思われる遺書があった。


毛利「小沢さんの部屋では、この遺書以外不審なものはなにもなかった。それに争った形跡もな。小沢さんの下に倒れて

いた椅子、それに上って首をつったんだろう。」


コモン「遺書にはなんて書いてあったの??」


こう書いてあった。


「三年前、澤田さんを殺したのは俺だ。稲貝ごめんな。」


コモン「稲貝??」


井藤「稲貝孝志のことだよ。」


コモン「あぁ!!思い出した。稲貝孝志って死刑囚の。今は北海道の網走で無実を訴え続けてるってニュースでやってた。それがなぜ??」


井藤「実を言うと、澤田さんは殺されたんだ。溺死体で発見されたのは本当だが、澤田さんが釣りに出た船に細工がしてあったんだよ。沈没するようにね。。。そのとき、小沢さんが見た、と言っていたな。稲貝さんが澤田さんの船のそばで何かしているのを。その時他のみんなにはアリバイがあり、小沢さんの証言もあったことで稲貝さんが犯人として捕まった。これが真実です。」


杉川「そうなの。。。私たちも稲貝さんが犯人って決め付けてた。ね、麦山さん」


麦山「はい。そうなんです。」


(コモン「さっき隠していたことはこのことだったんだ。」)


毛利「でも、なぜ今このことを打ち明け、遺書に書いたのか全くわからんな。」


小暮「それに、小沢さんが澤田さんを殺した証拠も今となっては見つからないだろう。稲貝の容疑ははれないだろうな。」


赤橋「じゃあ、孝志…いや、稲貝さんは死刑に??」


小暮「それはもう決定している。何も変わらない。」


赤橋「くそ!!!」(小声)


(コモン「赤橋さん??」)


コモン「ところで渡部さんは??」



つづく。by BEM

小沢「井藤さんっ、今更3年前のあの出来事…いや、あいつの名前を出すんじゃねーよ。」


井藤「す、すいません…」


麦山「でも…きっとそうよ!!澤田さんの呪いなんだわ!!!」


小沢「麦山さんまで何言ってんだよ!!あれは事故だよ!!」


杉川「そ、そうよ!それにもう3年も経ってるのよ!!何で今更…」


赤橋「…」



ザワザワ


再び皆がざわめき始めた…



高橋「皆さん!落ち着いて下さい。もうすぐ警察も来ますから、そうしたらちゃんと調べてもらいましょう。」


毛利「そうですよ!警察が来るのを皆さんこの部屋で待ちましょう。」


小沢「じ、冗談じゃねーや、こん中に犯人がいるかもしれないのに一緒にいれるかよ!!」



そう言うと小沢はいさみ足で階段を上っていった。



毛利「ちょっと小沢さん!勝手な行動は…」


高橋「毛利さん、放っておきましょう。彼もショックでパニックに陥っているんでしょう。」


杉川「あの…。私も部屋にいていいですか?死体なんか見たものですから気分が悪くって…。」


麦山「それなら私も。」


赤橋「お、俺も…。」


毛利「…ふぅ…。分かりました。でも警察が来たら呼ぶのでそれまでは部屋から出ずにじっとしてて下さいね!!絶対出ないでくださいよ。」



杉川・麦山・赤橋「…はい。」



返事をすると三人とも各々の部屋に入っていった。



高橋「では私は表の道まで警察が来ていないか見てきますね。この別荘の位置は分かり難いでしょうから。」


毛利「え?、ああ。お願いします…」


コモン「ねーねー井藤さん。」


井藤「ん?何だいコモン君?」


コモン「さっき井藤さんが言っていた澤田って人は誰なの?」


井藤「!?」



一瞬、井藤さんの顔が曇るのを俺は見逃さなかった。



毛利「そうですね。是非お聞かせ下さい。事件解決のヒントになるかもしれませんしな。」


井藤「…わかりました。お話します…。」



井藤の話はこうだ。澤田 健二(当時36)はこの別荘の近くで定食屋を経営していたらしい。この釣りのサークルが発足した当時からのメンバーで釣りの腕はイマイチだったが調理の腕は一流でよく皆が釣った魚を捌いて調理していた。料理がうまいことに加え人柄も良く皆から好かれていたそうだ。


でも、3年前に亡くなったらしい。死因は溺死。皆の反対を押し切って嵐の夜に単身、夜釣りに出掛け翌日に溺死体で発見されたのだそうだ。


井藤「あ、そういえば渡部さんが亡くなった部屋…あれ、いつも澤田さんが使ってた部屋ですね。」


RUN「え~、やだ~!!!」


コモン「ねーねー他には何か分からないの?」


井藤「そうだね…。私の分かる事は全て話したと思いますよ。」


(いや、さっきの皆の反応からしてまだ何かありそうだけどな…)


毛利「どうもありがとうございました。」



その時、表に警察を見に行っていた高橋さんが帰ってきた。



高橋「毛利さん、警察の方がいらっしゃいましたよ。私は皆さんを呼んできますね」



高橋さんが皆を呼びに部屋を出ると同時に1人の男が入ってきた。見たところ40代後半だろうか。その男の風貌から警察であることはすぐに分かった。



小暮「N県警の小暮です。あなたが毛利さん?」


毛利「…ええ。私をご存知で?」


小暮「あなたが有名な探偵って事は知っている。じゃあ事件の事を詳しく説明して下さい。」



その時だった。


高橋「も、毛利さーーーーん!!!」


二階から高橋さんが呼ぶ声が聞こえた。声が震えている…。リビングにいた人間はビックリして二階に駆け上がった。


二階にあがると、小沢さんの部屋のドアの前で腰を抜かしいている高橋さんがいた。


毛利「どうしたんです!?」


高橋「な、中!!小沢さんが…」


俺とおっちゃんはすぐさま部屋に入った。  


すると、そこには天井からぶらさがったロープで首をつっている小沢さんの姿があった。



一体この事件は…


そして、この物語はいつまで続くのだろうか…


それは誰にも分からない…


俺にも…





つづく















ここに犯人の糸口があるのだろうか…


もう少し現場を調べてみるか…


各客間には鍵がついていないから、誰にでも犯行は可能だったということになる。

だが、部屋は散らかっていて争ったような形跡があるのにもかかわらず、床にシミになっている渡部さんのものと思われる血痕がほとんど見当たらない。


渡部さんの頭部がまだ見つかっていない事から、別の場所で殺されてから、運ばれたのか?


そう思い他の客間を廻ってみたが、血痕らしきものは見当たらなかった…


じゃあ、屋敷の外で殺されてから、運ばれた…?


いや、仮に外で殺されたとしても、2階に運ぶまでには、俺らのいたリビングの前を通らなければいけないし、いくらおっちゃん達が話に夢中になっていたとしても気づかれずに運ぶのは無理だろう…


何かリビングを通らずに運ぶ方法はないだろうか?


客室には、子供が1人やっと通れるような大きさの窓があった。


(さすがにここからは無理だよなー)と俺が窓から外を覗き込んでいると…


「コォラ!坊主何やってんだ!さっさと降りてこいや!」


おっちゃんの声だ。


「今いくよー」


リビングに降りていくと、みんなが暗い面持ちで座っていた。


毛利「え~もうすぐ警察がきますが、その前にみなさんの犯行時間前後の行動を教えていただきます。」


井藤「…毛利さんは、私達の中に犯人がいると?」


小沢「はっ!?冗談はよしてくれよ!」


毛利「いえ、皆さんを疑っている訳じゃないんですが、事態が事態ですから…小沢さん、あなたは少しの間席をはずしていましたよね?」


小沢「ちっ、俺は外でバスケしてたんだよ!酔いを醒ましたかったし、毎日ボールに触ってないと落ちつかねえからな。」


毛利「それは何時頃ですか?」


小沢「9時半頃だったかな…ったく勘弁してくれよ。」


杉川「私は9時頃トイレに行っただけですよ。」


麦山「私もトイレに行っただけね。そうね…9時半頃だったかしら。」


赤橋「俺は8時半頃から、夜風をあびにテラスにいたよ。昔っから酒が弱くてね。」


井藤「私は、9時過ぎに部屋に行ってましたよ。こないだ釣った魚の写真を皆さんに見せたくてね…」


高橋「私は、9時半頃お風呂のお湯を溜めにいったくらいでしょうか」


(…なるほど、誰にでも殺すチャンスはあったということか。)



渡部さんの死体発見から、30分が経とうとした頃、殺人事件のショックで張り詰めていた空気に皆が耐えられなくなってきていた…



小沢「俊之!お前なんだろっ!!おまえ渡部が金返さないとかってよく言ってたじゃねーか!」


赤橋「突然何言ってるんだ!それを言ったら、麦川にも動機はあると思うけどっ!!」


麦川「…それを言ったら、杉川さんだってね…」



…どうやら、各々少なからず渡部さんへの不満をもっていたみたいだ。


小沢「俺は、部屋に戻るそ!この中に殺人鬼がいるとしたら、一緒になんていられねーよ」


毛利「小沢さんちょっと待って、まだ話は終ってませんよ…」


小沢さんが階段を上がろうとした時、井藤さんがポツリとしゃべった…


井藤「…澤田だ。」


一同「えっ!?」


井藤「きっと澤田の呪いですよ!!」


小沢「井藤さんっ、今更3年前のあの出来事…いや、あいつの名前を出すんじゃねーよ。」






つづく