ここに犯人の糸口があるのだろうか…
もう少し現場を調べてみるか…
各客間には鍵がついていないから、誰にでも犯行は可能だったということになる。
だが、部屋は散らかっていて争ったような形跡があるのにもかかわらず、床にシミになっている渡部さんのものと思われる血痕がほとんど見当たらない。
渡部さんの頭部がまだ見つかっていない事から、別の場所で殺されてから、運ばれたのか?
そう思い他の客間を廻ってみたが、血痕らしきものは見当たらなかった…
じゃあ、屋敷の外で殺されてから、運ばれた…?
いや、仮に外で殺されたとしても、2階に運ぶまでには、俺らのいたリビングの前を通らなければいけないし、いくらおっちゃん達が話に夢中になっていたとしても気づかれずに運ぶのは無理だろう…
何かリビングを通らずに運ぶ方法はないだろうか?
客室には、子供が1人やっと通れるような大きさの窓があった。
(さすがにここからは無理だよなー)と俺が窓から外を覗き込んでいると…
「コォラ!坊主何やってんだ!さっさと降りてこいや!」
おっちゃんの声だ。
「今いくよー」
リビングに降りていくと、みんなが暗い面持ちで座っていた。
毛利「え~もうすぐ警察がきますが、その前にみなさんの犯行時間前後の行動を教えていただきます。」
井藤「…毛利さんは、私達の中に犯人がいると?」
小沢「はっ!?冗談はよしてくれよ!」
毛利「いえ、皆さんを疑っている訳じゃないんですが、事態が事態ですから…小沢さん、あなたは少しの間席をはずしていましたよね?」
小沢「ちっ、俺は外でバスケしてたんだよ!酔いを醒ましたかったし、毎日ボールに触ってないと落ちつかねえからな。」
毛利「それは何時頃ですか?」
小沢「9時半頃だったかな…ったく勘弁してくれよ。」
杉川「私は9時頃トイレに行っただけですよ。」
麦山「私もトイレに行っただけね。そうね…9時半頃だったかしら。」
赤橋「俺は8時半頃から、夜風をあびにテラスにいたよ。昔っから酒が弱くてね。」
井藤「私は、9時過ぎに部屋に行ってましたよ。こないだ釣った魚の写真を皆さんに見せたくてね…」
高橋「私は、9時半頃お風呂のお湯を溜めにいったくらいでしょうか」
(…なるほど、誰にでも殺すチャンスはあったということか。)
渡部さんの死体発見から、30分が経とうとした頃、殺人事件のショックで張り詰めていた空気に皆が耐えられなくなってきていた…
小沢「俊之!お前なんだろっ!!おまえ渡部が金返さないとかってよく言ってたじゃねーか!」
赤橋「突然何言ってるんだ!それを言ったら、麦川にも動機はあると思うけどっ!!」
麦川「…それを言ったら、杉川さんだってね…」
…どうやら、各々少なからず渡部さんへの不満をもっていたみたいだ。
小沢「俺は、部屋に戻るそ!この中に殺人鬼がいるとしたら、一緒になんていられねーよ」
毛利「小沢さんちょっと待って、まだ話は終ってませんよ…」
小沢さんが階段を上がろうとした時、井藤さんがポツリとしゃべった…
井藤「…澤田だ。」
一同「えっ!?」
井藤「きっと澤田の呪いですよ!!」
小沢「井藤さんっ、今更3年前のあの出来事…いや、あいつの名前を出すんじゃねーよ。」
つづく