えほんとおもちゃにかこまれて♡ -16ページ目

えほんとおもちゃにかこまれて♡

えほんとおもちゃのお店で働きだしたやぎが
日々をつづりまする。

「鬼の橋」

伊藤 遊 作
太田 大八 画

福音館書店


平安初期の京都が舞台。
妹を自分のせいで死なせてしまったとと失意の日々をおくる少年篁(たかむら)は、ある日妹が落ちた古井戸から冥界の入り口へと迷い込みます。
そして家族を亡くしひとり五条橋の下に住む少女、阿古那と、片方のツノを折られ、この世へやってきた鬼の非天丸と出会う中で、悩みながら迷いながらも成長していく姿が描かれています。


平安時代の話しだが、篁(たかむら)などすごく親しみやすく
話しに入っていきやすかったです。
鬼の話しだからなんだか怖いお話しかと身構えていたけど、
意外にもハートフルな?あたたかい話しでした。
非天丸が鬼から情が生まれて変わっていく様子がまたよいです。
普通のごはんが食べられるようになってよかったねーって安心したりして。
歴史物だけれども、それを感じさせない読みやすさでした。

作者のあとがきで篁(たかむら)が実在する人物だったと知りさらに興味が増しました。私自身、歴史ってそんなに興味がそそられない分野だったのですが、
最近、実在する場所や建物や自分が知っているいろんなものとリンクすると
すごくおもしろいなぁって思えるようになってきました。
この物語を読んだきっかけで歴史好きになる子もいたりするのかな♪
「時は平安時代。夜が今とは比べものにならないほど暗く、闇の中に鬼やら物の怪やらが潜んでいたころ。」
平安時代、現代の私たちが想像もできない程、夜は真っ暗だったんでしょうね。
星もきれいだろうなぁ。と歴史に思いをはせるのでした。

 
「トムは真夜中の庭で」

フィリパ・ピアス作
高杉 一郎訳

岩波少年文庫

トムは弟が麻疹にかかってしまったことで、
うつらないようにと夏休みの間、親戚のうちに預けられる。
遊び相手もいなく、庭もない退屈なアパート暮らしで
毎晩眠れなく真夜中アパートの裏の扉を開けると
そこにはあるはずのない美しい庭園が広がっていた。
毎晩、真夜中になるとその庭園に遊びにいくようになったトム。
そこで、ハティという一人の女の子と出会います。


この本は寝る前のベッドに入った時間に読んでいたので、
夜、物語の世界に入るということでなんだかトムとリンクして読むことができました。
(途中で本当に夢の世界へ行くこともしばしばですが。)


物語のテーマは「時間」。
子どもの頃って時間という概念がまだ出来上がっていなくて
不思議に思うことがたくさんありましたよね。
この世界に生まれて、数年の実体験が世界の全てなわけですからね。


自分が大人になること、親が子どもだったこと
そういったものがつながって今があることなど。
いつの間に理解して、当たり前になってきたのかな。
本当に理解できているのかなと。子どもの頃の自分の感覚も思い出しました。
なぜか私は年長さんぐらいの時、10歳で大人だと思っていたこととか。


この物語に出てくる美しい庭園は作者が幼い頃に過ごした庭園だそうです。
イギリスの人はやっぱり写実に描くのが好きな文化なのですね。
夏、冬、それぞれの植物、動物たちの情景が目の前にあらわれる
本当に美しい言葉たちです。

あとがきの「作者のことば」
「私たちはみんな、じぶんのなかに子どもをもっているのだ。」
でむすばれているのが印象的でした。
昨年の10月の講演会だったので、だいぶ日が経ってしまいましたが、
資料を見ながら思い出しながらまとめてみまふ。

余談ですが、私の子どもの頃の思い出の絵本3冊。
「かいじゅうたちのいるところ」
「すてきな3にんぐみ」
「くまのコールテンくん」
の著者がみんなアメリカの出身だったり、移住してたりと
アメリカの絵本作家さんでした。びっくり

吉田先生のアメリカの絵本のお話しは
モーリス・センダック
マーガレット・ワイズ・ブラウン
マーシャ・ブラウン
の3人の作家さんについてでした。
今回はセンダックについて。

センダックはコルデコット、ポター、ニコルソンなど多くの画家や作家の影響を受けたと本人が語っています。
そんな模倣と敬意を表すために作った本がいくつかあります。
なかでも、「かいじゅうたちのいることろ」は明らかにニコルソンの「ふたごのかいぞく」から影響を受けているそうです。

私は今回の講演会で初めて知った「ふたごのかいぞく」
かいぞくの風貌とこの絵本のかわいらしさにひかれて買ってしまいました。
復刊ドットコムで絵本としてはちょっと高めでしたが
吉田先生の解説付きなの私的にはとっても満足♪

そして、「ちいさなえほんばこ」の「ピエールとライオン」の
ピエールは両親の注意にことごとく
I don't care.と反抗し、


「ふたごのかいぞく」のかいぞくは世話をやいたり色々教えてくれるメリーに
They didn't care.


そして「かいじゅうたちのいるところ」のマックスも
He didn't care.の状態から物語がスタートしているそうです。
吉田先生いわく、物語の始まりは The night  で One night  ではないので、
「ある夜」ではなく、「その夜」だとおっしゃっていました。
マックスがなにか悪さなりいたずらなりをした夜ということらしいです。

でも、3作ともそこを通り抜けてハッピーエンドなんですね。
センダックは浄化と希望というメッセージを本を通して子どもたちにおくっています。


吉田先生が参加された1985年のイギリスでのセミナー
「センダックの世界」で、もしセンダックの作品の中からベストワンを選ぶとしたらというディスカッションがされ「ロージーちゃんのひみつ」が選ばれたそうです。

想像力豊かな少女ロージーと子どもたちが遊びほうける
ユーモアにとんだ作品。
私はまだちゃんと読んだことはないので読んでみようと思います。

あと、「まどのそとのそのまたむこう」
もほしいなぁとおもったら重版未定でした。残念。


最後に「わたしたちもジャックもガイもみんなホームレス」

これまで子どもの内面に関心を集中してきたセンダックは
この作品で新たに現代社会の中における子どもの危機的な状況に注目しています。

姉が結末に対して、子どもたちが古巣に戻っただけでは何の解決にもならないと非難したところ、センダックは自分は手品を演じているのではない。現実はそんなに突如にバラ色に変わらない。しかし、物語ではあんなに邪険だったジャックとガイが優しく浅黒い肌の少年を抱きしめている。彼らの世界は幸せな状態に一変したのだ。物語はハッピーエンドである。といったそうです。

センダックの一貫した姿勢に感服です。
やはり子ども心がっちりつかむ作家さんだけのことはあります。
さてさて、次回はマーガレット・ワイズ・ブラウンとマーシャ・ブラウンです。