囲碁のプロ棋戦ってどんな仕組み?
僕自身詳しい方ではないのですが、アマチュア囲碁ファンであってもこんな疑問を持っている方は多いと思います。
最近でこそ「見る碁」でプロ棋士に注目する方の割合が増えた気がしますが、
プロ棋士やプロ棋戦についての知識は、全く知らない(かろうじてトップ棋士数人は知っている)という人と、かなり詳しい人に極端に分かれている印象があります。
今回は「囲碁のプロ棋戦」の話をしましょう。
この記事を読めば主要プロ棋戦がコンパクトに理解できる!を目指して。
前提として今回取り上げるどの棋戦も
「現タイトルホルダーへの挑戦者」を選抜 → タイトルホルダーと挑戦者の挑戦手合
これを毎年行っています。
囲碁の主要プロ棋戦
囲碁界の「七大棋戦」はいずれも新聞社と日本棋院・関西棋院が主催しています。
棋聖戦
読売新聞社が主催。サントリーホールディングスが特別協賛。
優勝賞金が4300万円と最も高額で、棋戦の中でも序列1位。
仕組みは棋戦の中で1番ややこしい!
リーグ戦を戦い各リーグのトップが棋聖戦タイトル保持者への挑戦者を決める決勝トーナメントに進むというもの。タイトル保持者と挑戦者は七番勝負で決着をつけます。
リーグ戦はSリーグからCリーグまでありますが、成績によって昇格・降格があり来期にも影響します。
リーグに在籍していない棋士は予選トーナメントを勝ち上がることでCリーグに入ることができます。
名人戦
朝日新聞社が主催。株式会社明治が協賛。
9人が参加するリーグ戦を行い1位になった者が挑戦権を獲得。
タイトル保持者との挑戦手合七番勝負が行われ勝者が名人となります。
全棋士に予選参加資格はあるものの名人戦リーグは狭き門です。予選・最終予選を勝ち抜いた3名のみがリーグに入ることができます。リーグの9名は、最終予選勝ち抜き者3名、前期からの残留者5名、七番勝負敗者1名で構成。このリーグに入れば一流棋士とされます。
本因坊戦
毎日新聞社が主催。大和証券グループ本社が協賛。
1939年に創設された最も歴史の長い棋戦です。囲碁の家元・本因坊家から「本因坊」の名前を引き継ぐ形となっています。
もともと棋聖戦・名人戦とともに3大棋戦とされていましたが、第79期(2024年)から優勝賞金が2800万円から850万円に大幅減額され、実施方式も変わりました。
以前の仕組みは名人戦に似ており、8名のリーグ戦で挑戦者を決め、タイトル保持者との挑戦手合七番勝負。
現在の方式は16名によるトーナメント戦で挑戦者決定となっています。16名のうち前期挑戦手合敗者、前期本戦挑戦者決定戦敗者の2名はシードとしてトーナメントに入れますが、その他は予選・最終予選を勝ち上がった棋士です。また挑戦手合も五番勝負に変わりました。
王座戦
日本経済新聞社が主催。
トーナメント戦による勝者がタイトル保持者と挑戦手合を行います。
トーナメント戦の定員は16名で、参加資格は予選・最終予選を勝ち抜いた棋士です。また、16名のうち前期挑戦手合敗者、前期トーナメント戦の挑戦者決定戦敗者はシードとしてトーナメントに入ることができます。
挑戦手合は五番勝負。
天元戦
新聞3社連合(北海道新聞社、中日新聞社、神戸新聞社、徳島新聞社、西日本新聞社)が主催。
トーナメント戦による勝者がタイトル保持者と挑戦手合を行います。
トーナメント戦の参加資格は予選を勝ち抜いた棋士ですが、定員は28名+αと多め。このため若手が初タイトルとして取りやすい棋戦とされます。
トーナメント戦には前期準決勝進出者4名、タイトルホルダーがシードとして参加できます。
挑戦手合は五番勝負。
碁聖戦
新聞囲碁連盟が主催。
トーナメント戦による勝者がタイトル保持者と挑戦手合を行います。
トーナメント戦の定員は24名+α。トーナメント戦の参加資格は予選を勝ち抜いた棋士、前期準決勝進出者4名、タイトルホルダーです。
挑戦手合は五番勝負。
※注:「新聞囲碁連盟」は河北新報、新潟日報、信濃毎日新聞、静岡新聞、北國新聞、京都新聞、山陽新聞、中国新聞、四国新聞、高知新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、沖縄タイムスで構成される。
十段戦
産経新聞社が主催。大和ハウス工業株式会社が特別協賛。
20名によるトーナメント戦の勝者がタイトル保持者と挑戦手合を行います。
トーナメント戦の参加資格は予選・最終予選を勝ち抜いた棋士と、前期準決勝進出者4名です。
挑戦手合は五番勝負。
囲碁の主要プロ棋戦(女流)
女流棋戦も見ていきましょう。
女流本因坊戦
共同通信社と日本棋院が主催。
女流棋戦では最も歴史が長く、最も格が高いとされています。
20名プラスαによるトーナメント戦で挑戦者を決定し、前期女流本因坊との挑戦手合五番勝負が行われます。
トーナメント戦の参加資格は予選を勝ち抜いた女流棋士と前期トーナメント戦ベスト4及び女流タイトル保持者です。
女流名人戦
日本棋院が主催。以前は産経新聞社も主催でしたが2019年に終了。
2020年の休止を経て2021年に巨樹の会が協賛スポンサーとなって再開されました。
また最近になり、第35期(2024年)からは優勝賞金が700万円から1000万円に増額されるという嬉しいニュースがありました。
7名によるリーグ戦で挑戦者が決定され、タイトル保持者との挑戦手合三番勝負が行われます。
このリーグ戦には予選を勝ち抜いた女流棋士が参加できる他、前期の上位4名が残留します。
女流棋聖戦
日本棋院が主催、NTTドコモが協賛。
16名によるトーナメント戦で挑戦者が決まり、挑戦手合三番勝負に出場できます。
トーナメント戦の参加資格は予選を勝ち抜いた女流棋士と前期挑戦手合敗退者、女流タイトルホルダー。
「1手30秒、1分の考慮時間10回」という早碁の棋戦です。
女流立葵杯
日本棋院が主催。毎日新聞社が後援、一般財団法人温知会が協賛。
2014年に創設された比較的若い棋戦です。
8名によるトーナメント戦で挑戦者が決まり、挑戦手合三番勝負に出場できます。
トーナメント戦の参加資格は予選を勝ち抜いた女流棋士と前期挑戦手合敗退者、女流タイトルホルダー。
ざっくりまとめると
棋聖戦・名人戦
二大タイトル。挑戦者決定も挑戦手合いも長丁場!リーグ入りすれば来期以降もアドバンテージの可能性あり。挑戦手合は七番勝負。
本因坊戦
かつては三大タイトルの一つとされた歴史ある棋戦だが最近になり規模縮小。挑戦手合は五番勝負。
王座戦・天元戦・碁聖戦・十段戦・女流本因坊戦
挑戦者決定はトーナメント戦。挑戦手合は五番勝負。
女流名人戦
挑戦者決定はリーグ戦。挑戦手合は三番勝負。
女流棋聖戦
挑戦者決定はトーナメント戦。早碁。挑戦手合は三番勝負。
女流立葵杯
挑戦者決定はトーナメント戦。挑戦手合は三番勝負。
この記事、読んでコンパクトに理解できるかな??
ともあれ、次回はプロ棋戦の開催地について取り上げます!
良かったら続けてご覧ください。→[雑記]プロ棋戦の挑戦手合開催地