妹が法定相続分の3000万を姉に請求しなかったとしても、民法によって定められている、いわば「最低限の相続財産の取り分」である遺留分1500万だけは権利を主張してきたとします。
亡くなった父親の財産が不動産以外に1500万円の現金、預金だとか株だとかあれば、話はスムーズかもしれません。
あるいは、相続財産とは言いませんが、保険をかけていて亡くなったとか・・・。もし1500万くらいの保険に入っていて、受取人の指定が妹になっていたらスムーズかもしれません。
しかし、不動産だけだったら・・・。
6000万円の価値がある不動産を遺す人が、現金1円もないなんて、アリエナイ
そう思うかもしれませんが、たまたま父親がその自分の親から受け継いだ資産だったとか、事業をやっていて借金をして、とにかく家だけは守れた状態だったとか、浪費家で現役時代は給料をほんとど使い、年金も目いっぱい使っていたとか・・・。
最近、よく感じるのは、要介護になってから亡くなるまでに治療・入院代や施設入所にかかる費用が莫大にかかるということもあります。
それに、年金も祖父母の頃よりはずっと減っています。(私たちの頃はどうなるのでしょう
)うちの実家や親せきを見ていても、すでに貯金は「取り崩し」になっています。
その「取り崩し」できる貯金だってわずかです。
また東大の市民後見人養成講座や宇陀市で出会いの中で耳にしたのが、訪問販売や悪徳なリフォームなどでつぎ込んでしまい、気が付いたら預貯金がなくなっていた・・・という話です。
不動産だけしか相続財産はない・・・ということは、アリエナイということはないのでは?と思います。
話を戻すと、遺留分を言ってこられた姉は困ります。
妹の遺留分にあたる1500万円を払えるお金を姉が持っていて、払うことが出来たらいいのですが、姉にだって今後の長い生活がありますし、そんな大金があるかも疑問です。
でも、妹だって悪くないのです。
姉が以前から6000万円価値の土地と家屋に住んでいたからと言って、父親からみて同じ子供なのに一円も相続財産がない・・・というのは、納得がいかないでしょうし。
こうなると、「お姉ちゃんに住んでもらおう」と思っていたのに、「出ていけ」となってくるのです。
確かに、6000万の不動産を売って、そのお金を半ぶんこして、姉は住む家を借りるなり、買うなりしたらいいのですが。
長年、住んでいたお家を60代や70代で離れるとなると、精神的にも勇気がいります・・・。
だいぶアレンジしていますが、これ、実際に私が伺った話をもとにしています。
実際には、もう少し、相続人がいらっしゃるのと、現金預金がゼロではないかと思います。
ただ、遺留分を払うだけのお金は残っていないようです。
「揉めていない」と仰っていましたが、双方に弁護士さんがついていらっしゃるとか。
私は紛争性があると思っているので、行政書士法上、扱えないのはもちろんのことですが、弁護士さんが今後、どう解決されていくのかな~と思っています。
相談してくださった方は、大人しい方で、上品で素敵な方です。
「早くすっきりしたいのよ~」という思いの方が強いそうです。
次回に続きます。