ポチはやがて、昼か夕方のおやつ?ご飯?を食べると、しばらく玄関先でのんびりして、思い立ったようにタッタッタと走って、どこかに出かけ、しばら~くしていると夜8時か9時くらいになると玄関先に敷かれた毛布の場所に戻って寝るという生活になってきました。
思い立って去っていくのは、たぶん、それまでのテリトリーだった町営住宅のところにも顔を出していたと思います。なにせ、町営住宅の人たちの中でも人気犬でした
我が家は古民家なので、玄関が広いのですが、ポチは餌をもらうとき以外は玄関の内側からは出て行きます。毛布の時期にかかわらず、玄関の外がポチの場所でした。
ところが、あるとき、雷がゴロゴロと鳴ったときのことです。
「ワンワン」とも鳴かず、キュンキュンと言って、玄関の内側に入ってきました。
それも上り口に近い奥まったところに。
あれ?ちょっと目を離したすきにポチがいない
おとなしくて行儀がよいと思っていたポチですが、どうやら雷の音は大の苦手らしい・・・。
玄関先をあがり、奥の風呂の脱衣場のところでガタガタしながら雷が鳴りやむを待っていました。
さすがに、このときばかりは叔母も
「どこに昇ってるの!」と怒っていました。まだ、私が高校時代のころは室内犬も少なく、しかも野良犬が家の中にあがってくるというのは、叔母もちょっと受け入れられなかったのでしょう。
しかし、このときばかりはいくら、玄関の下におろそうと引っ張っても風呂場からでようとしませんでした。
同じように、夏の花火大会の日にも花火の音が怖くて、ふたたび家の奥の部屋まで入ったことがあります。
私の家族は、みな不思議がっていました。
だって、ポチはそれまで、ずっと野良犬でどこかの家に入れてもらっていたということは、なかったはずなのです。玄関先ならまだしも、家の中までって・・・。
叔母は、「あいつ、野良やし、オスやのに・・・」ということで、
「ぽちこ」と言い始めました。
「ポチ」と言われても、「ぽちこ」と言われても、はたまた町営住宅で「シロ」といわれても、愛想よくしっぽをふって、餌をもらうときは、お手、お座りを嬉しそうにしていました。
これが、最期まで「ぽちこ」と言われるようになった経緯です