前回の続き。
工事用の区画なので時々天井が低いところもあり、湿度が高く、決して綺麗な場所ではありません。
保守点検で作業する方々は自転車で移動しています。
建設工事
工事用の列車なので物凄い座席が狭かったです。
工事開始にあたって、まず最初に行われたのは先進ボーリングです。
事前に調査していたものの実際に掘ってみるとどんな地質になっているのかを調べるものですが、普通のボーリングでは真下へ掘っていきます。
しかしながら、青函トンネルではこの工事のため開発した水平ボーリングが行われ、その長さも1,000mと非常に長く、273本が打ち込まれました。
とは言え、未知の工事ということで様々なトラブルが発生しています。
特に何度も異常出水が発生しており、1976年5月には毎分85tという大量の水が吹き出し、隔壁がいくつも破られています。
元の掘削地点に戻るまでに半年弱掛かりました。
ちなみに湧水が現在も発生していることから常時ポンプで吸い出しているため、発電機も設置されています。
構造
実は青函トンネルは大きく分けると3本のトンネルが掘られています。
新幹線や貨物列車が通る本坑、地質調査のために先駆けて掘られた先進導坑、ケーブルカーが通る作業抗の3つで、加えて本坑とそれぞれの坑道を繋ぐ連絡誘導路も設けられています。
トンネル内には定点と呼ばれる避難場所が設けられており、列車火災をはじめとした万が一の事態が発生した場合はそこへ退避することになるのですが、この体験坑道と定点がつながっています。
なお、青森県側が竜飛定点、北海道側には吉岡定点があります。
どちらの定点も竜飛海底駅と吉岡海底駅という旧名称があり、新幹線開業前まではトンネル見学コースの拠点となる駅として使われていました。
一般的に1972年に発生した北陸トンネル内での列車火災での教訓を元に、万が一が発生した場合、トンネル内では停止しないことがマニュアルとなっていますが、青函トンネルは53.85kmもあるため例外として定点に緊急停車します。
2015年4月3日、走行中の特急スーパー白鳥34号から発煙が発生し、開業後初めて乗客・乗員が竜飛定点を経由して地上へ避難しています。
20分ほどの見学で再び地上へと戻ります。
本州と北海道の旅客移動は今や飛行機に移行していますが、依然として貨物輸送は盛況となっています。
また、2030年代には北海道新幹線は札幌延伸を控えており、旅客移動が活発になると思われます。
津軽半島の先端部分という場所柄もあって、青函トンネル記念館は毎年4月中旬~11月上旬の半年間しか営業していません。
ちょっとディープかつマニアックな施設ですが、昭和の歴史に触れられる有意義な施設なので青森旅行をする際には候補に加えてみるのも良いと思います。