東北新幹線の車両は北陸新幹線を走れない。 | 仙台はやての乗り鉄旅行ブログ

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台風19号により被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 

私の住む宮城県でも大きな被害が出ている地域がありますが、私自身は幸い被害を受けることなく暮らしています。

 

さて、今回の災害で最も鉄道系の話題となっているのが北陸新幹線です。

千曲川の氾濫によって、長野新幹線車両センターが冠水し、全30編成のうち10編成が使用不能となる大きな被害を受けました。

 

そこでこのように思われた方もいるのではないでしょうか?

「東北新幹線の車両を代わりに走らせれば良いのでは?」

 

同じ新幹線ならば走れるようにも見えますが、残念ながら走れません

新聞では専門家と名乗る人が色々と書いていますが

『それホント?』

『内容が難しい』

と思ったので素人ながら簡単に話したいと思います。

 

北陸新幹線には他の新幹線が走れない2つの事情があります。

  1. 2つの周波数に対応する機器が必要
  2. 急勾配専用のブレーキが必要
 

○2つの周波数に対応する機器が必要

新幹線を走らせるのに必要な電気には周波数Hz(ヘルツ)があり、東日本は50Hz、西日本は60Hzと異なっていて、北陸新幹線はその2つを跨ぐ新幹線です。
ここを通るために2つの周波数に対応した機器を搭載していなければ走れません。
東日本から西日本へ(またはその逆も)引っ越しする際、洗濯機や電子レンジなどの電化製品が使えなくなるのも原理は同じです。
 
ちなみに東日本大震災でも関西電力の電気を東京電力へ回すためには周波数が異なるため、簡単に出来ないということで問題になりました。

 

○急勾配専用のブレーキが必要

群馬県境の『碓氷峠』は急勾配であるため『抑速ブレーキ』と呼ばれる専用装備が必要となります。

強力なモーターによって勾配を上ることは出来ても、抑速ブレーキが無ければ安全に下ることが出来ません。


北陸新幹線を走るE7系・W7系はこれらに対応する機器を搭載した専用車両です。

ちなみに北陸新幹線の車両が東北新幹線を走ることは可能です。


そのため、現在検討していると思われる打開策は3つ。

  • 水没した車両の修繕
  • 他の新幹線の転用
  • 新製
水没した車両の修繕は電子部品がすっかり水に使ってしまっているので全部交換しなければ使うことは無理でしょう。
また車内をはじめ泥水が至るところに侵入しているので、修繕後の不具合もあり得ます。
 
他の新幹線の転用は先程申し上げた通り、できるものがほとんどありません。
唯一できるのは上越新幹線を走るE7系です。
上越新幹線は北陸新幹線との車両の共通化を進め始めていて、現在上越で運用してるE7系を北陸へ転用、代わりに置き換え対象のE4系を延命させます。
ただし、今年から本格的に始まったばかりなのでまだ3編成しかありません。
 
新製はほぼオーダーメイドの新幹線は容易ではありません。

しかしながら、上越用E7系は既に発注されているため、それらを北陸へ回すことになります。

(上越新幹線は比較的古い車両が走ることが多いのですが、こういった形で置き換えが止まりそうです)

 

一部報道ではE2系とE4系が北陸新幹線を走れると書いています。

E2系はE7系以前に北陸新幹線を走っていた車両なので可能かと思いきや、北陸を走っていたのはE2系0番台、現在残っているのは東北・上越用1000番台という似て非なる車両です。

0番台が現存しているような記述だったのですが、何か情報を教えて頂ければ幸いです。

 

E4系には北陸も走れる2編成、抑速ブレーキ搭載の2編成がの計4編成が存在します。

ただし、E4系の性能では乗客が満員だと碓氷峠を上がれない可能性があるため、今まで碓氷峠を下る軽井沢発しか運行されたことがありません。

さすがに毎回片道を回送にする新幹線を走らせるのは現実的では無いと思います。

(実際に満員の乗客だと勾配を上がることが出来なくなるのかは不明です。)

 

北陸新幹線は25日から全線復旧となる予定ですが、こういった事情によって、しばらくカツカツの運用が続くと思います。

長野では各種点検や検査も出来ない状態なので、それらも他で行わなくてはなりません。

また、連休や年末年始の繁忙期に設定される臨時列車も走らないと思います。

 

最後に1つだけ。

こういった状況になると旅行を控える方が大勢いらっしゃいます。

確かに交通機関が寸断され、観光客を受け入れられない地域であれば仕方が無いと思います。

しかしながら、少し交通機関が減便されているものの物やライフラインが満足にある地域には是非訪問してください。

例えば、宮城県は連日丸森町が報道されていますが、日本三景の松島や仙台周辺は一部崩れたものの観光するのにはほとんど支障が無い状態です。

ブログやSNSを活用し、リアルタイムの情報がわかると思いますので、行けるところは行きましょう。

それが復旧・復興の糧となると思います。