今夜の彼は許してくれそうにない・・・言わなきゃ・・・だけど何から話せばいいの?・・・でもこのままだと終わってしまう・・・どっちにしても終わってしまうのなら・・・せめて後悔しないようにしよう・・・深呼吸をして話し始めた・・・
「打ち合わせの時に怒ってたような顔が気になって・・・それが何でかずっと気になってて・・・聞きたいのに聞けなくて・・・疲れてたんだってユノに言われたけど・・・全然納得出来なくて・・・」
「・・・」
「電話でも冷たいし・・・全然話してくれないし・・・逢いにきてくれいないから・・・きっともう私の事嫌いになっちゃったんだって思って・・・」
「・・・」
「それでこんなウジウジ悩んでる自分が嫌になっちゃってお酒飲んで・・・お酒の力借りて電話した・・・だけど余計に怒らせちゃったみたいで・・・気が狂いそうになってまた・・・飲んでた・・・」
「・・・美夏・・・なんで俺が逢いに来なかったと思う?」
「・・・え?」
「分かんない?」
「・・・」
「俺が嫌いになったと思った?」
「・・・うん」
「そうだとしたら美夏はどうする?」
「え?・・・分かんない・・・」
「分かんないは答えになってない」
「・・・だって急に言われても・・・」
「俺が別れようって言ったら美夏は別れられるの?」
「・・・嫌だけど・・・だけどユノがそうしたいなら別れるしかないじゃない」
「美夏の気持ちを聞いてるんだけど?」
「・・・だって私がどんだけ好きでもユノが別れたいんなら仕方ないじゃない・・・ユノに迷惑かけたくないから・・・」
涙が流れる・・・これで終わりなんだ・・・溢れてくる涙が止まらない・・・
「迷惑か・・・美夏さぁ・・・人って迷惑かけたり迷惑かけられたり・・・それが人間なんじゃないの?」
「・・・」
「迷惑かけられたぐらいで人間って嫌いにならないと思うけど・・・全く知らない人は別として・・・家族や友達や知り合いってそうなんじゃないのかなって思うけど・・・」
「・・・」
「果穂さんに迷惑かけられたって思ったことある?」
「ある訳ないじゃない・・・」
「だろ?そんなもんなんじゃないの?だから俺も迷惑だなんて思った事一度もないよ」
「・・・え・・・」
「美夏の気持ちは?俺の事どう思ってる?」
「どうって・・・」
「そう・・・どう思ってる?」
「もちろん・・・好きだよ・・・本当は・・・別れたくないよ・・・どうしようもないほど・・・・・・・好きだよ・・・」
「逢えない間はどう思ってた?」
「・・・ずっと・・・ずっと・・・・・・逢いたいって・・・思ってた・・・だけど我儘言っちゃいけないって・・・仕事が大事なのは分かるし私もそうだから・・・」
「俺はその言葉を待ってたんだ」
「・・・」
彼が優しい目を微笑む・・・涙で彼の顔が歪んで見えない・・・でも眼差しが暖かい事だけは分かる・・・彼の言葉で言える事が出来た・・・ずっと言えなかった気持ち・・・
「俺ばっかりが想ってて美夏はどうなんだろうって思って我儘言わないし甘えないし頼らないから・・・不安だった・・・ごめんな美夏の事試すような事して」
「・・・ユノ・・・ごめん・・・私・・・素直じゃないから」
「俺はね逢いたい時は逢いたいって言って欲しいし美夏の我儘なら我儘だなんて思わない・・・頼られて甘えられて迷惑だなんて思わない・・・美夏だからそう思えるんだ・・・それに美夏の事なら何でも知りたいし・・・美夏の全てを知りたい・・・受け止めたいんだ・・・」
「ユノ・・・うぅっ」
俺は泣きじゃくる彼女を抱きしめた・・・こんなに泣いてる彼女を見た事がなかった・・・なんか果穂さんみたいだな?・・・でも嬉しいよ・・・本当はちゃんと美夏から言うまで言わないつもりだったけど・・・俺のせいでボロボロになっていく彼女を見てるだけで十分想いは伝わったよ・・・だから今回はこれで許してあげる・・・なんかすっごい不器用な彼女だから・・・
続く・・・



