ずっと忘れたくないこと。 | 酒屋に嫁いだヨメの日記

酒屋に嫁いだヨメの日記

三度の飯と酒がすき。

ただ、野球が好きだった。

 

気付いたときから、グローブとボールをにぎりしめ、

 

家の中で毎日壁当てしてた。

 

家の中だから、本当色々壊れそうで、やめてって言ってた。

 

でも毎日やめなかった。

 

家の中でスライディングしてた。

 

ズボンに穴があくほど滑ってた。

 

だからいつの間にか、キレイに滑り込んでた。

 

ユーチューブでとにかくいろいろな野球を見てた。

 

高校生、プロ、ユーチューバー驚くほど名前がでてきた。

 

○○高校の何年の○○くん、ってだれ!?だった。

 

やっと試合に出れるようになって、

 

ただ、好きな野球がしたかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな息子が、

 

「もう辞める。」って言った。

 

辞めるって言えなかった。

 

あまりに小さくなっていく姿に目が当てられなくて、

 

「辞める?」って、聞いた。

 

「うん。」

 

って、限界だった。

 

野球を嫌いになる前にって思った。

 

でも、遅かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オレは一生野球はやらない!!!絶対やらない!!!」

 

って、言いだした。

 

まだ好きなはずなのに、

 

野球の話をすると泣いた。

 

野球の話をしなくなった。

 

野球を見なくなった。見れくなってたのかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とにかく荒れた。

 

喜怒哀楽がさらに激しくなった。

 

紛らわすかのように、ゲームをしてた。

 

けどすぐイライラしてて、泣いてた。

 

夜も眠れなくて、眠るまでゲームをしてた。

 

起きると怖い夢をみたって何度も言った。

 

出し切れないものを心の中にかかえてる。

 

それは分かったけど、どうしたらいいのかわからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小学生でも受け入れてくれる、硬式野球のチームがあった。

 

いつかそこでやりたいと一度見学をして、ずっと言っていた。

 

知り合いに頼んで、体験を申し込んだ。

 

けど、いざとなったら、

 

「オレは行きたくない!!野球なんて一生やりたくない!!絶対やだ!!」

 

とにかく泣いた。

 

胸が痛すぎて、

 

辛くて、

 

毎日一緒に泣いた。

 

でも、行かないって決めてるから、心は動かなくなってた。

 

私があきらめきれなくて、ダメ元で、最後の手段で、ものでつった。

 

まさかのそれにのった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当日。

 

ひさびさに着るユニフォーム。

 

きっちり着込んで、かっこよかった。

 

また着れた。

 

それだけで嬉しかった。

 

空は晴れた。

 

緑は濃かった。

 

ピリッとした空気。

 

きびきび動く選手たち。

 

硬式ボールの音。

 

顔が変わった。

 

一瞬で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひと箱、初めて硬式ボールを打たせてもらった。

 

すぐ手を気にしてくれた。

 

「お!!えらいな!!努力の証があるな!!」

 

はじめて、手を褒められた。

 

もう、心はわしずかみ。

 

水を飲むとき、私の所へ来て言った。

 

「オレ!!ここでやる!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バッティング、補給、キャッチボール、上級生とやらせてもらった。

 

もう、全然違う顔になってた。

 

もう、好きがあふれてた。

 

私が泣きそうだった。

 

っていうか、泣いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰るとき、

 

「オレもう、絶対ここでやる!!中学も高校も大学も大人になっても、野球がやりたい!!」

 

スッキリした、キラキラの顔で興奮しながらいった。

 

やっと言えた。

 

「もう、絶対やめない!!オレ、野球がやりたい!!!!」

 

って、言った。

 

乗り越えてた。

 

自分でひとつ乗り越えた。

 

自分で見つけられたから、もう大丈夫。

 

自分で決めたから、もう大丈夫。

 

いつの間にか、子供だけど、ちゃんと自分の軸、見つけてた。

 

ぶれない。

 

尊敬した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

好きなものを好きと言えないことがこんなにつらいことだったと知った。

 

ただ好きといって、ただ好きなことがしたいだけなのに。

 

その芽はつませない。

 

絶対守る。

 

好きなことを、好きなだけやろう。

 

だれが何と言ったって、

 

自分の気持ちがしっかりしていたら、

 

どこに行ったって大丈夫。

 

絶対大丈夫。

 

この痛み、苦しみは、余計に好きを強くしてくれたと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自信をっもって。

 

胸をはって。

 

前だけ見て。

 

突き進んで。

 

とにかく経験して。

 

とにかく感じて。

 

とにかく考えて。

 

やらない後悔より、

 

勇気をもって、進もう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ただ、見守れること、

 

ただ、応援できること、

 

ただ、サポートできること、

 

こんな幸せなことがあるって、

 

再確認させてくれてありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本当!!!!!よかった!!!!!!!!!

 

 

がんばれ!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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この日のことは、一生忘れない。