「マリー・アントワネット物語」展に行ってきました。
「ベルサイユに咲いた薔薇」とも形容された彼女の肖像画は
数多く残されています。
白い肌、バラ色の頬、鮮やかな色彩
マリー・アントワネット=ロココの粋
と言っても過言ではありません。
そんな彼女の最期の肖像画は
ダヴィッドの描いたものです。
新古典主義の画家として代表的なダヴィッドの作品は
誰しも一度は見ていると思います。
そして「怖い絵」で、ダヴィッドのこの絵を見た時
あ、すごい と思いました。
ギロチン台へ市内引き回しで
運ばれる元王妃を群衆の中から
スケッチした絵です。
簡単なスケッチなのに
底から滲みでるような
悲壮感と覚悟。
「マリー・アントワネット最期の肖像」の
タイトルを知らなくても
この中年女性が得も知れぬ窮地にいるのが
わかります。
そして窮地にいるのに不似合いな
姿勢の良さが不自然を感じさせるのでした。
「怖い絵」から拾い出してみます。
ダヴィッドは、過激な革命派
ジャコバン党の闘士でもありました。
ダヴィッドは当時最高の腕で
なにもかも剥ぎ取られた
若くもなく、美しくもない
家畜荷車の上のマリー・アントワネットに
さらに、悪意の筆を加えます。
への字に曲げられた口元、
たるんだ頬
頑に閉じられた目
無惨なザンギリされた髪
ほんの一本の線が
どれほど女性を醜くするか
画家は知っています。
何もかも、忠実に写し取りながらも
意図的に醜さの印象を与えるように
描かれているのです。
そして、王族の証
下々の前で長時間、同じ姿勢を保つ訓練を受けた
「選ばれし者」たる覚悟の座姿。
窮地にいるのに不似合いな
姿勢の良さと感じた、「選ばれし者」の
覚悟まで、その観察眼は写し取っていたという事です。
悪意で辱めようとした画家のその手は
不覚にも、王族の不屈の誇りまで描いてしまったのです。
ダヴィッドは、その後
鞍がえするように権力者が変わる毎に
それにおもねき、同じように処刑台に向かう
昨日の同志をスケッチしています。
後世に残る作品を残しながら
人間性も後世まで「恥知らず」と批判されるのでした。