必ず成り立つこと | 秋山のブログ

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菅原氏のコメントの中に、前提などなしに絶対に成り立つ命題として私が書いていることに対して、反対する主張があった。世の中の人の中には、この程度のことも理解できない人がいるということである。これはもっと分かりやすい説明が必要であるということだろうか。

 

その命題とは、「支出を絞れば、別の誰かの収入が減り、誰かが貯蓄率を上げれば、別の誰かの貯蓄率が下がる」ということである。

 

これに対して菅原氏の反対は要約すれば、「所得は一定でない。実際GDPは毎年上がっている。従って、その命題は収入が一定であるという非現実的な前提の上での話である。」というものだ。

 

菅原氏の誤りは、個々の家計を周囲から独立したものと考えているのか、ストックとフローの理解が正確でないためだろう。個々の生産者は、最大限(又は収穫逓減での損益分岐点まで)生産しているわけでもなければ、生産すれば勝手に売れるわけでもない。購入してくれる誰かが必要なのである。誰かがある時点でいつも購入していたモノを止めたり、減らしたり、他の安いものに変えたりすれば、誰かが所得を減らすのは当たり前のことだ。むしろどうして気付かないのかとすら思える。(ちなみに誰かが支出を減らすと同時に、さらに別の誰かが支出を増やせば、誰かの収入は減らないかもしれないが、それは全く別の話である)

貯蓄率の場合も、貯蓄率を上げるために支出を絞れば誰かの収入が下がるため、下がった誰かが同じように消費するならば、貯蓄率は下がってしまう。下げないように、消費を減らせば、さらに別の誰かの収入が下がるということになる。これもまた当然の話だろう。

これを理解するためには、まず少数の人間から考えてみるのがいいだろう。ある一定期間に何らかの売買で貨幣が移動することを考えてみよう。一定期間における収入より支出を少なくした人間は、持っている貨幣の量を増やすが、例えば2人で考えればその期間もう一人は確実に持っている貨幣を減らす。一定期間の所持する貨幣量の変化は、プラス・マイナス全て集めれて合計すれば、前提条件なしに必ずゼロになるのである。これは対象が一億人であっても同様である。そして収入の大小はもちろん問わない。当然、貯蓄しようとする個人の努力も、借り入れや貯蓄の切り崩しをしてモノを買ってくれる人がいなければ、需要を縮小させて釣り合わせることになるだけであって、貯蓄は生まれない。逆に、借り入れて代金を払う人がいれば、その一定期間に必ず持っている貨幣を増やす人が出るのである。

 

今回の、内容はちょっと面白さに欠けていると思う。貨幣について、ストックとフローについて正確に理解している人にとっては、今さらな話だろう。どのように説明すれば理解できていない人が理解できるか、チャレンジしてみたといったところで、ご容赦願いたい。