小ネタ 「間違えたら腹を切れ。経済学者」 | 秋山のブログ

秋山のブログ

ブログの説明を入力します。

ニュース女子というTV番組を最近見ている。経済の話もしばしば出てきており、出演者には比較的好感を持っている。しかし経済の話になれば(主流派経済学に)騙されているなと思うこともしばしばある。別の言い方をすれば、小ネタとして適当なものがたくさんあるということだ。

 

先日、暴論大賞という企画で「間違えたら腹を切れ。経済学者」という東谷暁氏の書いた記事が取り上げられていた。

(47分から)

 

最初のプレゼンテーションのところからなかなか面白い。ジョーン・ロビンソンの『経済学を勉強する目的はどうしたら経済学者に騙されないかを学ぶことにある。』という言葉を取り上げている。主流派経済学が世界中の人間を騙すためのプロパガンダをおこなうためのものであるということは、私も散々書いてきたことなので全く異論はないが、そもそもジョーン・ロビンソンは主流派経済学に反旗をひるがえしていた人物であるからちょっとフェアではないかもしれない。しかしながら『最先端の経済学説を国民に理解させるのは不可能』という説明には異論を述べたい。現在政策に関して議論になっている内容は全く難しくない。政策議論の根拠は古く単純なものであって、最新の高度な数学を利用した学説は、その政策と関係がない。すなわち、こんな高度なことをやっている新古典派の言うことだから従いなさいと主張しているだけなのである。そしてその最先端の学説も、結局現実と一致せず、未来を予想する道具としても全く役に立たないのだ。つまりこの番組も主流派経済学の罠にまんまと嵌っているのである。経済が複雑なため、分かり易く説明するのが無理だという主張は、分かり易くする意志がないためである。何故ならば誤ったことを信じさせるためのプロパガンダだからだ。

 

物理学者である武田邦彦氏の、経済学は『学問じゃない』という発言は、経済学の慣習を見ていれば当然のことだ。自然科学者にとって、著名な学者の主張だからというのは、ほとんど価値がない。現実と一致しなかった理論は価値の低いものであり、今まで現実と一致した理論だけを矛盾なく組み合わせてきたことによりあまりブレない理論体系を形成してこれた経験からも、その方法論には確信をもっている。物理学に限らず、ほとんどの科学分野で常識的におこなわれている方法論が経済学ではおこなわれていないところで、武田氏が経済学は学問と呼べないと考えても不思議はないだろう。(私としては、経済学は学問足りえると思う。しかしそのためには、現実の重要視が絶対必要だろう)

 

経済が複雑であるため、正解はないとか、意見が分かれても仕方ないなどと考えることも誤りだ。経済学においても簡単なことであるならば予測できることはいくらでもある。正確には予測できないことでも、ある程度の予測と、その正確さ自体を示すこともできるだろう(他分野における複雑な事象の予測はそのようなものだ)。どこまでならできるかを示して、現状で出来た範囲で主張するのが科学的な方法である。

間違えても腹を切らない、すなわち責任をとって立場を退いたりしないだけでなく、間違いを明確に認めて理論を修正したりすることすらしない現在の体制は、経済学を発展させようという意識が希薄であることを物語っている。前述したように、目的がプロパガンダのためと考えれば、むしろ合点がいく。番組で取り上げられていた変節も、目的が真理の追究以外のものである証拠だろう。

 

自分から腹を切ることがない業界であるから、業界の外の人間が何故間違えたか説明を求める方がいい。どのような理論からそのような結論が出たか分かれば、その理論が間違っている証拠が一つ増えることになり、経済学に山積みされているゴミ理論が整理される一助になるであろう。