円の実力について その2 | 秋山のブログ

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経済において市場機能を整えることは重要である。ここで大きな誤解があるのは、それは為替市場や先物市場などの市場を作ることを意味していない。市場機能を整えるためには、情報の非対称はあってはならず、独占寡占など規模によって有利になるようなこともあってはならないだろう。しかし為替市場しかり、先物市場しかり、非対称を利用した(早く情報を得ることもこれに入る)投機的な取引きだらけで、市場機能はむしろ働いていない。同じ市場という単語を使うことから、あたかも同一のものであり、市場があれば自然に達成されるので、市場に任せればいいかのような誤解が蔓延っている。

 

私も昔は鵜呑みにしていたことだが、変動相場制でなければいけない確かな理由はない。為替の大幅な変動は、実貿易に悪影響を与える。企業の破綻をしばしば生むだろうし、それに備えた無駄、例えば内部留保に励むなどといったことが起るだろう。

 

「新・日本経済入門」では『円相場は消費者物価平価に近づく』という部分に、消費者物価平価、卸売物価平価、輸出物価平価と円相場の関係がグラフが載っている。このグラフをみると、為替市場は、購買力平価に則ってある程度適正な状況になるようかのように考えてしまうかもしれない。しかしユーロと円やドルとの関係を見れば、ずっと差が大きく平価から外れているのが分かるだろう。これは二通りの解釈ができそうである。一つは日米程密接な貿易関係にないので実際の物価との関係が反映されにくいというものだ。しかし、購買力平価が実際にどのような形で為替を形作っているかという点で、現実に適合したモデルは存在しない。もう一つは、日米間では為替に関して介入する仕組みができており、調整されていることと、その事実を市場参加者が理解しているということだ。今までの経緯を見てみれば、こちらが正しいだろう。

そうであれば、日米間では様々な平価をもとに固定制をひくのが、企業の安定という意味では望ましいと思われるがいかがだろうか。

 

為替は、物価の違いのみではなく、金利の違いや、経常収支の状態などにも左右される。しかし実際は、情報によって決定されるもので、構造的には美人コンテストと何ら変わらない。適正な値になる保証などどこにもないものである。インサイダー取引が野放しにもなっている。そもそも投機的に通貨を交換する行為に建設的な効果は認められない。現在のシステムを続ける意義を大いに疑うものである。