(答1) 家計の資産と企業の負債はおよそ一致していた。 -解説-銀行からの融資にせよ、資本家からの投資にせよ、企業が借りたお金は設備投資やいろいろな形で使われ、別の所有者に移ります。どこかの段階でそれは預金等の金融資産になるため、企業の負債と家計の資産は一致します。ここで間違えてはいけないことは、家計が貯蓄するから投資がおこなわれるわけではないことです。 (答2) 家計等資産と、政府負債、企業負債、海外負債の合計は必ず一致する。 (答3) × -解説-投機的な株や土地の取引きによるそれらの上昇という問題はありましたが、国内の景気はたいへんよく、作れば売れる状況で企業の状況も良好でした。負債の額の大小は、それに対する利子や配当を十分払える状況であれば、全く問題ではありません。家計と企業や国の会計は、制度上全く異なるものであり、家計の感覚をそのまま企業や国に当てはめることは誤りです。 × -解説-海外からの借り入れは増えず、逆に海外への貸し出しが増えています。当時は、働けば十分な賃金をもらえた上に、働く場所も豊富で、多くの労働者が自ら働いて得た賃金で贅沢をしました。借金して贅沢をしていたのではなく、働いたその見返りが適正に分配されていただけです。 (答4) 政府負債が増えた分、家計等資産が増えるか、企業負債が減る。政府負債が家計等資産より大きくなる可能性はほぼない。 -解説-政府負債が、家計等資産が超えると答えた場合は、中間点なしの零点です。 (答5) 高齢者が貯金を崩して使用したお金は、主に国内の別の人に移動するだけである。そのお金は貯蓄されるか、企業や国の返済に利用される。後者が多ければ、家計等資産の総額は減少するが、基本的には返済に利用する必然はなく、高齢化と家計等資産の増減は関係がない。 -解説-本来老後に切り崩して使うために若い頃から貯蓄するのであり、高齢者が切り崩したお金が若い勤労世代に移動し貯蓄されるというのが本来の形です。 (答6) 家計等の資産が切り崩される状態というのは、総じて家計に入ってくる収入より、支出の方が大きい状況である。買い控えをせざるを得ない状況が以前より増えるので、景気は悪くなり失業者が増える。企業業績も当然悪化していくが、株価に関しては以前より配当を払う上で有利になった分だけ、業績とは無関係に上昇する。景気の指標としての株価への盲信が政策をあやまった原因である。日本企業の株式における外国人の比率は上昇しているので、外国に対して支払うお金は増加するため、余計に貿易で利益をあげる必要も出る。結果として、日本経済は悪化の一途をたどる。そして、所得税収、法人税収は減少し、さらに政府負債は増大する。 |
この問題を理解すれば、おそらく日本政府が何をすべきか誰にでも分ると思われる。安倍首相の経済学者もこれに関しては結構理解しているようである(法人税に関してはDSGEモデルによる誤った結論を信じている)が、問題は世の中にこんな簡単な話すら理解できていない人間(ダメ経済学者も含む)が多いことだ。