企業を元気にするために | 秋山のブログ

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討論番組を見ていたら高市早苗議員(志も行動力もある議員だと評価しているので、余計に勉強不足が惜しい)が安倍総理の間違った経済政策をそのまま主張していた。法人税減税が、不況対策として馬鹿げていることは、再三書いてきたが、どうやったら分り易く説明できるかということで、再度チャレンジしようと思う。

法人税を減税すべきという理由で、企業を元気にするためだというものがある。企業が元気になれば雇用が増えるとか、そんなことも言われる。騙されている人も多い理屈だが、何故騙されるかは頻出のパターン。家庭と企業の混同だ。家庭は減税によって可処分所得が増えればより消費ができるようになる。すなわち元気になる。しかし企業は全く違う。企業にかかる税金は、労働者の賃金やら材料費やらを全て払った残りの黒字にかかるものだ。減税で赤字企業が黒字になって、より多くの従業員を雇うなどということは絶対におこらない。企業が元気になるために必要なことは、需要が増えること、売れることであって、減税されることではない。

減税のメリットもないわけではない。例えば株価は上がるだろう。しかしこの株価の上昇は、業績が上がったための上昇ではないので、株価上昇による錯覚で消費が若干増えるくらいの意義しかない(これは相当過大評価されている)。担保価値の上昇は、需要不足の下では全く意味がない。

海外からの投資を呼び込むというメリットも、多くの人が騙されていることだ。入ってきた額に比例して需要が増えるのでなければ、需要を獲りあって既存の国内企業の売上げは減少させ、循環するお金を国から持ち出し需要減少に拍車をかけることになる。そして比例して需要が増えることなど決してないのだ。また、途上国なら、投資にともなって入ってきた技術で生産性を著しく増大させることもありえるが、日本でそんなことは期待できないだろう。

日本の企業は、需要が足りなくて困っているのだ。売れるならもっともっと作ることができるのだ。売れないから多くを雇うこともできず失業者(非正規労働者と置き換えてもいい)も増えていく。失業者は、労働者よりお金を持っていないためにより少なくしか消費できない。失業者が増えることは、需要減の連鎖になる。これが現在の経済の状況だ。

しかし国がおこなってきたことは、その解決策としては全く逆のことだ。経費認定を厳しくして累進性を緩和する。消費税を増税して法人税を減税する。公務員の給与を削減する。労働者の権利を制限する。こんな馬鹿なことを続けていれば、不況は20年どころか、200年でも、2000年でも続くだろう。