法人税減税 | 秋山のブログ

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安倍総理はやはり相当分っていない。法人税減税を指示したという記事があった。安倍総理の周囲はそれなりによい人材はいるのに困ったことだ。(野田氏、鳩山氏よりは百倍マシだが)

法人税に関しては都市伝説がある。

法人税が高いと国内企業の海外脱出が促進される、という都市伝説。
法人税は給与等を払った後にかかり、当初借りて使ったお金(期間の問題は多少あるが)や原価償却費で相殺した残りにかかるので、儲かってしかたない企業(大抵は独占的立場を悪用している)以外はそれ程心配する必要はない。法人税を気にする必要があるのは、税引き後の利益から配当をもらう株主だけである。
つまり通常の国内企業の海外脱出の理由は、法人税の高さにはないということだ。
儲かりすぎている企業が節税、脱税のために海外に本体を移すことに関しては、現在全世界的に取り組みが始まっているように、国際的な抜け道潰しで対応すべきだろう。キャピタルゲインに対する税率が低すぎるのも抜け道になるので、調整すべきだ。そしてこれらには全体に対する具体的なデメリットは何もない。(ここでも自由な資本の移動価値がないことが分る)

法人税が低いと海外企業が日本に進出し雇用が生れる、という都市伝説。
税金を払う以前に、企業はものやサービスを提供して利益を得なければならない。入ってきて勝手にものやサービスを提供すれば利益を得られるわけではない。国内産業に勝る何かを持ってシェアを奪わなければならない。それが望めない状況で進出するわけがない。それができる企業なら高い税金を払っても全体としてプラスである。また多くの場合、日本に輸出すればこと足りるだろう。

実証でも、法人税減税は全くいいところがない。
日本の消費税増税プラス法人税減税は、プラスマイナスゼロどころか、景気にも大きくマイナス、財政収支にも大きくマイナスという最悪の結果になった。
レーガンブッシュの頃に米国でおこなわれた増税抜きのそれは、景気を押し上げずに財政収支を著しく悪化させただけだった。

一つだけ法人税減税がプラスに働くことがある。
それは株価の上昇だ。配当が増えやすくなるのだから人気が出るのは当然のことだ。
株価の上昇はすでに書いたように、景気に対して若干の浮揚効果はあるが、景気の動向を支配するほどのものではない。経済がよくなった指標として盲信することはさらに意味がない。

結論は、法人税減税は成長戦略として意味がない、だ。

蛇足だが、思いつきのアイデアを一つ。
最低賃金を上げるよりも、労働分配率によって法人税率を変えるやり方の方が成長に結びつくだろう(もともと税率の低い法人税よりも所得税で払ってもらう方が大抵よい)。企業にはガンガン稼いでもらって職員に分配してもらうのがよろしい(アベノミクスでもそのような政策があるが、もっと強力にやるべきだ)。そして逃げる、もしくは逃げると脅す企業からは、もっと高い税を取るべきだろう。国内雇用に貢献するものと貢献しないものを同じ扱いにすることは相当におかしい。