ソ連の失敗を見よ | 秋山のブログ

秋山のブログ

ブログの説明を入力します。

ケインズや修正資本主義を考える人間は、すべからくソ連のやり方に大反対であるが、フリードマンにとっては同じことで、それらが失敗するだろう予想はソ連の失敗が証拠らしい。

池田氏の作品に、「もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら」というのがあるが、既にフリードマンの政策を忠実に実行した国があった。チリである。結果はwikiを読んでもらうとして、池田氏は小泉進次郎をピノチェトにしたいのだろうか。

ソ連や他の社会主義国が大失敗だった(日本という社会主義国は大成功だったという主張をする人も世の中にはいるが)理由を考えれば、インセンティブが働かないことだったり、個々の創意工夫を塗りつぶすような上からの雑な計画だったり、蔓延する不平等だったり、今であれば容易に指摘できるであろう。ソ連の新たな特権階級は、政府という巨大な力で、多くの人々をそれらの意志とは関わりなく(フリードマンの最も嫌うところで、この辺りは同感)動かし、そして自分の取り分は多くした。こんなもの上手くいくわけがないだろう。

フリードマンの言う通りにして失敗する理由は、現在世界中が失敗している理由は、実は全くソ連の失敗と同じ理由である。独占的な企業が、ソ連における政府と同じ働きをしたのである。

能力の差などたかが知れている人間が、巨万の富を得られる理由は、制度や様々な方法を通して、多くの人から金を集めることにある。税金を集めて、例えばそれを流す天下り企業やらはその悪しき方法のひとつであろう。しかし、例えば米国の鉄道王は政府からの土地の払い下げで巨万の富を築いたとか、ロシアの新たな億万長者が政府払い下げの企業で儲けたとか、拙速な民営化は監視から逆に外れることになって、逆効果であることがしばしばある(蛇足だが郵政の民営化は郵便事業に関しては悪くないと思われる。銀行業務に関しては、それが完全な民営化であれば、銀行業のレントを抑える手段を失うこととなりマイナスだと思う)。政府の人間が政府の力を利用して私腹を肥やすことと、構造的に何ら変わりはないだろう。また、払い下げでなくても、銀行等は、同じような状況になりうる。

大事なことは、公正な競争が行われるように見張り、時には介入することである。それは政府、企業、市場を問わない。それこそが、フリードマンの求めた自由を実現するためにも、重要なことであると思う。