連合と経団連のトップ会談 | 秋山のブログ

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連合と経団連のトップ会談があった。双方の主張を考察してみよう。

日経1月30日から引用。
まず連合。
『連合の給与総額の1%上げの要求は昨年と同じ。これに加え今回の連合は、新政権が掲げるデフレ脱却政策と賃金との関係を強調した。古賀伸明会長は会談で 「総額人件費の削減だけでは、デフレから抜け出せない。今こそ人材への投資に経営のかじを切るときだ」と主張。賃上げによる個人消費の喚起が、デフレ脱却 につながると訴えた。』
そして経団連。
『米倉会長は会談後、記者団に「企業が元気を出してはじめて雇用が創出できる。今の状況では厳しい」と連合の主張に反論した。会談の中でも経団連側は「地方 や中小の企業の経営はより厳しい」と主張。むしろ「定昇の取り扱いが、昨年以上に主要な論点になる」と賃上げ圧力をけん制した。』

まず1%の要求というところに幻滅した。労働者の賃金が需要の源であることはその通りであるが、政府が2%上がると見ているところで、それが実現したとして同時に賃金が1%しか上がらなかったとしたら、可処分所得は減るわけで確実に景気の足が引っ張られるだろう。また、1%しか上げなければ、物価がそれ以上に上がる要因はあまりない。あるとすれば、為替市場が賃金上げの情報に過剰反応して、それに見合った以上に円安が大きく進む場合であろう(為替の適正化のためにも自由な資金移動に規制は必須だ)。
この賃金増により商品の価格が上がり国際競争力がそがれるという意見ならば、物価の上昇に大凡為替は連動(通貨安)するわけで、しかも必要以上に円安に振れそうであると考えれば、ほとんど影響もないだろう。要求すればそこまで上がるという確証もないわけで、最初から控えめにするのは全く意味がない。
要するに物価上昇、景気浮揚のメカニズムに対する理解が足りないのだ。

経団連会長に関しては、さらに理解不足で視野が狭い。賃上げが雇用を減らすという主張は、需要が増えないという前提と、労働者が少ない賃金に合わせて能力をセーブしているという前提が成り立たなければ正しくはない。
企業が苦労している理由は、高すぎる利息や配当を求められているというところにある。そこを理解せずに賃金を上げられないと言うのはよろしくない。中小企業に至っては、さらに大企業の独占性を利用した不利な取引が加わる。住友化学は下請けに十分な料金を払っているかちょっと興味があるところだろう。

この会談の冒頭、経団連会長は、労使双方の危機感の共有を主張していたようだが、経団連は日本の生産全体のイニシアチブを取るべき存在であるにも関わらず、それらしい働きをしていない。一企業の利益を追求していればいいことなど決してないのであって、もっと経済をしっかりと理解し、全体のためになる提言をしていかなければならないだろう。それができなければ、嘗て菅元首相を貶め野田元首相を持ち上げた(全く馬鹿げた発言だと思うが)首から上発言は、そのまま自分自身に返ってくるものとなるだ。