給与と政策 | 秋山のブログ

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給与に関して今までいくつか書いてきた。考えは基本的に変化はない。
最低賃金労働組合の意義賃金上昇と空洞化
賃金の上昇は雇用を減らさないということ。組合活動でより高い給与を勝ち取っても、他職の給与が下がるなどということはおきないこと等を述べてきた。

今回は適正な競争という建前の脆さに着目して。

複数企業の競争があれば賃金は高く適正な値になるという主張がある。
これは、企業が独占状態にある、もしくは談合すれば不当に低い賃金に設定される可能性が高いという話とセットになっていて、実際独占企業が解体を強いられたり、協定の場をもうければ罰せられたりもしている。
しかし、はたしてこれは本当なのだろうか。

談合等すれば不当に安くなること誰もが異論のないところであろうが、そのことはそれを排除したからと言って適正になるということの証明にはならないだろう。

価格にしろ賃金にしろ、それを決定するためにいろいろな情報を得て判断される。今までの値段やどのくらいコストがかかっているか等々によって決定される。それを考えると、談合しなくても大方の値段は決まってきて、そこを逸脱した低価格や高賃金は、独占を目論んだダンピング合戦やパニック以外ないだろう。適正な値段付けならば、談合との差は皆無に近く、談合する必要などどこにもないということだ。

価格決定権の力は、非常に大きい。競争なんてそれに比べれば余程小さな要素だろう。
実例には事欠かない。例えば自治体が何か建築するとすれば、民間で建てる場合の何倍もの価格になる。交渉して下げるのと異なり、業者に価格決定を委ねるからだ。
各国の医療費もしかり。医療側が自由競争で価格を決める国、分野では圧倒的に高額である。(自由競争でも価格を抑える方法として、国等が同等品を強制的に安価で提供してしまうという手段もあることはある)

現在従業員の給与は、利益からどのくらいの配当を出せるかという情報を重要視して決定されているだろう。配当を得ようとする人間は今までと同じ程度の配当が得られることを期待するだろうし、経営者側もそのくらいの値を考えるだろう。ところが、人口の増加率 は以前とは全く違うのだ。それだけの配当を出せば、従業員の給与にしわ寄せがくることは容易に想像できるだろう。かくしてデフレスパイラルは開始される。