〆切前のファンレター | みつはしちかこオフィシャルブログ「小さな恋のダイアリー」Powered by Ameba

 

〆切が迫ってくると、やたら人に手紙を書きたくなる(手紙といってもハガキだけど)。
状差しに、常時10枚ほど未使用の官製ハガキが差してある。このごろは、何でもこのハガキですませてしまう。

送られた本や品物のお礼はちゃんと書かねばと思っているから、なかなかその気になれない。そのうちと思いつつ、日がたつにつれますます書かねばと思い書けなくなる。
形式のある手紙がひどく苦手。いい加減なハガキはスラスラ書ける。

先日も〆切が迫っているというのに、尊敬する漫画家のサトウサンペイさんにハガキを、書ききれなくて2枚も書いてしまった。
手紙を書くのは苦手だけどもらうのは大好きなサンペイさんと知っているから、何でも気楽に書ける。先輩でも、拝啓とか時候の挨拶など不要。たいてい「コンニチハ サンペイさん」で始まる。

御年90になるサンペイさんはこのごろ、ぜんそく持ちのこともあって、心身ともにだいぶ弱られている。耳も遠くなられ、電話がかかってきても、あちらが勝手にしゃべるだけで、私のほうは相槌をうち、(訳がわからないのに)時々笑ったりする。
先日来た手紙(といっても大勢に宛てた近況報告で、自分の病気のこととか人のお葬式のこととか)、なんだか全部暗いのだ。

よし、気軽に面白いハガキを送ってみよう。私は朝日新聞朝刊に連載していた『フジ三太郎』の大ファンだったのでファンレターを出したのが、おつき合いのはじまりだった。
私はけっこうファンレターを書いてます。私が連載していた4コマ漫画の雑誌に連載されていたあるマンガが面白くて、ファンレターを出して渋谷でやったサイン会にも行ったっけ。若い男の子ばかり並んでて恥ずかしかったな~。でも男の子の間にはさまって、1時間くらい並んでサインしてもらった。

とにかく、家でゴロゴロしているというサンペイさんにハガキを書きました。奥さんに文句を言う前に、自分で自分のゴハンくらい作りなさい、とか。
マンガ家は笑いをとる仕事ですから、生涯、他人を笑わせましょー。他人を笑わせられなくなったら、自分を笑いましょー。しんどくなった日常で、面白いことを見つけましょー。

あれ、そんなこと書いたかな? ただ返事が来ないことを当たり前に思い、気楽に面白そーなことをハガキに書いて送ってみた。それだけだけど、きっとサンペイさんはよろこんでくれると思う。
〆切が迫るとこんなハガキを書きたくなって困る。試験の前に大掃除をしたくなってしまうように。

 

 

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