私は今2LDKのマンションに住んでいるが、二つある部屋の一つはすっかり物置き場になっている。
そろそろ思い切って生前整理をしておかなくちゃ、子ども達に迷惑をかける、と片づけはじめるのだが、みんな思い出がしみ込んでいて捨てられない。結局、途中でギブアップして捨てる決心をしたものをまた元に戻してしまう。
しかし、元に戻そうとしたものが元に収まらないというのは、どういうことだろう。そんなに詰めこんでいたのだろうか…そうだろうね。
引っ越してきた時は結構広々としていたのに、気がついたら物だらけになっている現実。
私の友人の家は、きれいすっきりしている(といっても、かなり広い3LDKだが)。どの部屋もスッキリなのだ。
「なんでこんなにきれいに住めるの?」と聞いたら「来たものはどんどん捨てる!」。右から左へ毎日さっさと捨てて、キレイを保っているという。
私といえば、いい思い出たちを捨てられない。
ボロボロなのに今も愛用しているタオルやバスタオル。おばあちゃんが好きだった味噌こしは、アルミ製で今はもう全く使っていないのに、何故か捨てられない。
好きな本(一番古いのは、中学時代に読んで感動した『ジャン・クリストフ』)、うれしい手紙類、お気に入りの絵ハガキ、何十枚もの大判ケント紙(劣化してフチが黄ばんでいる)、頂きものが入っていた容器、古いアルバム、旅先で買ったガラスのネックレス、ビーズの指輪…。
チマチマしたものたちがいっぱい貯まっている。が、肝心の(?)お金はさっぱり貯まっていない。
捨てようと取り出したものたちを又戻しながら「マ、イイヤ」「子どもに迷惑をかけても、私が死んでしまったらみんなきれいに捨ててくれるだろう」と。