忘れない 待つ時間 | みつはしちかこオフィシャルブログ「小さな恋のダイアリー」Powered by Ameba

ケータイを持っているのだけど、あんまり使わない。

いつかケータイが出はじめの頃、会社の社長をしている友達の家に行った帰り、どーしても私を家まで送っていくといってきかない。

私は車が好きではないので断ったのに、「会社の子に運転させるから気を遣わないで」といって強引に私を車に押し込んだ。後部座席に私と彼女、前には運転するナントカ君ひとり。

乗ってすぐに彼女のケータイが鳴った。彼女は私との会話を突然中断して、割り込んできたケータイに「モシモーシ」とかん高い声で答えている。そしてペラペラケータイの人と話し出す。
感じ悪い。

そのうち運転している男の子のケータイが鳴って、運転中だというのにケータイで話しはじめた。
なんちゅーこと、私は「ケータイやめて」と叫びたかったけど、言えないでビクビクしっぱなしだった。

彼女のところにはしょっちゅうケータイがかかってくる。その度に「モシモーシ!」。
いくらやり手の女社長だって、お客さん(私のこと)をほっぽり出して失礼じゃない?
車を運転しながらケータイで長話をしている運転手君にもハラハラしっぱなしだった。

「あー、よっぽど電車で帰った方がよかった。ケータイばっかりの人はキライだ」

私は思い出す。待つということ。
まだケータイのなかった時代、電話を待つ、手紙を待つ、人を待つ…。

あの切ない不自由な時間を愛おしく思いながら、私は時代遅れの漫画を描き続けていこうと思っている。