ああ、なんと素晴らしい世界 | チビたんの家

チビたんの家

保護したチビたちは、にゃんこ9匹、わんこ2匹の総勢11匹とお世話がかりの私たち夫婦。虹を渡った子たちは4匹で、自分達が虹を渡るときに再会を楽しみにしていて、日々どたばた暮らしています。チビたちのお母さんは北海道の出身で、お父さんは生まれも育ちもほぼ東京下町。

幼少期を東京の病院で過ごしていた私は、家族に会ったことがありませんでした。病院から故郷の北海道はとても遠く、まだ民間人が飛行機に乗ることは珍しく、青函連絡船や夜行列車を乗り継ぎながらで、東京と北海道の行き来に二日もかかった時代でした。当時の幼い私にとって、自分の現実は命が尽きるのを待つ毎日で、寂しいとか考える余裕はありませんでした。会ったことがない家族は、名前も知らないし顔もわからなかったので、辛くなかったんでしょうね。

 

心臓が悪く余命宣告を受けていた私は、親戚にも出生を知らされることがなく、病院にお見舞いに来る人はいませんでした。誰もが最悪の事態を想定していましたが、今夜が峠と言われながら私はそれらを乗り越え生き延びました。

 

小学生になると体力もつき、生きらる可能性が出てきたということで、主治医から帰郷の許可がでました。北国に新緑の季節が訪れるのを待って、初めて家族の住む北海道に向かいました。50年も前の出来事ですが、家族にあった日を忘れられません。父が家族を紹介してくれました。名前を教えてくれました。唯一の衝撃は、初めて聞く北海道弁が聞き取れませんでした。

1週間の帰宅でしたし、環境が変わったからか高熱を出し寝込んでしまい、ほとんどを布団の上で過ごしました。

 

しかし、その1週間の帰郷が、私に命を吹き込みました。自分の帰りを待つ家族がいる、それは私にとって生きる理由になりました。青く広い空のもとで、大地を駆け抜けていく風が、とても優しく力強く圧巻でした。この空と大地があれば私は大丈夫で、病気なんてなんてことなく思えました。目に入るものが全て美しく、光を放ち輝いて見えました。