
本日のPatchは、コロンビア大学のロゴpatch。
米国で高校生活を送る息子を見ていると、ついネタにしたくなる。
今日もそんな息子の高校の話だが、最初に一言。
話のネタになる息子の名誉のために書いておくが、彼は決してバカでも怠け者でもない。
先日などは、何の準備もしないで受けた大学受験ACTテストで結構良いスコアを出した。
そのスコアだと、絶対無理なのはカリフォルニア工科大学だけ。
ハーバードやMIT、スタンフォードなどトップクラスも、<SATやGPAも良ければ>合格可能性もなくはないとされるスコア。
そんな息子だが、得意科目もあれば苦手科目もある。
苦手なのは、国語などの言語系。
その苦手が災いしたのが、アメリカ史のクラス。
アメリカ史のAPクラスは、年度末にあるAPテストに含まれるライティングの準備のため、毎日かなりのライティングが宿題になる。
そのライティングが息子に大きくのしかかっている。
前期が終わり、期末試験を含んだ成績は大丈夫だったものの、期末試験前までの9週間の成績がパスに満たなかった。
苦痛なライティングで宿題を何度も期限内に提出しそこねたからだ。
(期限をすぎても課題は全部完成はさせている。)
この9週間の成績を落とすと、いわゆるクラブ活動への参加が少なくとも3週間禁止になる。
ただし、息子が落としたのはAPクラスで、宿題が多くより難しいAPクラスの場合は、その先生が認めれば参加禁止から逃れられる。
息子がパスしなかった9週間が終わったのは、冬休みの開始時。
学校は休校に入るので、冬休み最終日、生徒は休みだが職員は出勤となる月曜日に、どのような手続きが必要か、カウンセラーに会いに出かけた。
息子の担当カウンセラーは、今年転任してこられた方で「実は私もはっきりと知らないの。でもAPクラスだし、落としたといっても限りなくパスに近い成績だから、前の学校ではこの成績なら問題なかった。ここでも大丈夫なはず。心配することないと思うから、部活(バンド)の先生に聞いてみて。」と、言われた。
問題なさそうだね、と安心した息子。
バンドの先生がいつも忙しそうなので声をかけるのをためらい、ようやくこの件を話したのは木曜日。
「この用紙に署名を貰って手続きを早急に、今日、しなさい」と申請用紙を渡された。
「早急に」というのは、この参加禁止にあてはまると、土曜日のオーディションに参加できなくなるからだ。
土曜日のオーディションは、年に1度の、オールステイト、全テキサス高校バンドのメンバー選考のオーディション、いわば1年のオーディションの頂点。
そういうわけで、活動参加禁止解除の申請用紙を昨日手にした息子。
担当のアメリカ史の先生はすでに捕まらず、明日のオーディション参加には、今日しか猶予がない。
とにかく早いうちに提出しろと、1時間目が始まる前に先生をつかまえて署名してもらう算段で、昨日メールを入れた息子だったが、返事は来ず。
早めに登校させたものの、息子から「先生の部屋にいったけど別の先生がいた」とテキストが送られてきた。
この時点で、息子はまだ「4時間目がアメリカ史の授業で先生に会うからその時でいいや」と思っていたらしいが、私の頭にはすでに緊急事態のフラッグが立った。
その先生、現在妊婦で、たびたび体調をくずして代理の先生に授業をする事があると息子から聞いていたのだ。
先生が休みだとアウトじゃん!
息子も高校生だし、ここまでは親としてでしゃばらずに本人に行動させて来たが、そんな場合ではない。
先生にメールしてみた。
「昨日息子がメールしましたがお返事がなかったようで、早めに登校しましたが教室に別の先生がいらしたとのこと。今日はお休みさせるのでしょうか?」
返事はすぐに来た。
「今、体育室(体育系クラブの顧問もされている)におります。3、4、7時間目の授業もでますよ。」
息子にその旨をテキストした。
結局、4時間目のアメリカ史のあと、先生に署名を貰い、その足で校長室へ用紙を提出しに出かけた息子。
そこで青ざめた。
「先生の署名はあるけど、書名の上に「部活参加認める」か「却下」かが記されていないから、コレじゃ先生がどちらの意図で署名したのかわからないから受け取れない」とつっかえされたのだ。
「もう一度先生にここを記入してもらってから持ってきて」
と言われた時点で、先生はすでにランチ休憩。
次に確実に先生をつかまえられるのは先生の担当授業がある7時間目。
ここまできて、ようやく息子の頭にも緊急事態のフラッグが立ったと見た。
普段短いテキストで用件しかよこさない息子が、電話をかけてきた。
事情を聞いた私も青ざめた。
学校は8時間目までで終わりとなる。
7時間目に先生の方をクリアできたとして、そのあと校長先生の認可署名が間に合わなければアウト。
息子には「7時間目の<前>に先生を捕まえて書類記入してもらい、自分の授業に遅れようがかまわないからすぐに校長室に持っていけ。」と伝え、私も高校へ向かった。
高校の受付オフィスで尋ねた。
「9週間チェックでの部活参加禁止の件で、明確なガイドラインを知りたいのですが。」
そもそも、学校の手引きには「9週間チェックでパスしなければ、APクラスでない場合、部活参加禁止」となっているのだ。
更に、こういう事態を恐れて、出来る限り早い時点でカウンセラーに会いに行ったのだが、彼女の回答は不明瞭だったのだ。
すでに息子が今日1度書類を持って来ているので、「あ、もしかしてA先生のクラスの・・・?」と事情を把握されたようで、「彼が先生の署名を完成させて再度持ってくれば、校長がサインし、校長の秘書がコンピュータ入力すれば、彼のステイタスはクリアになります」と説明された。
「ですが、先生がつかまえられるのは7時間目、それで校長の段階、間に合いますか?」
「大丈夫、月曜には確実にクリアになるといっていいかと。」
「問題は、明日のオーディションなので、今日中じゃないとダメなんです」
「まあ、とにかくできるだけ早く手続きはしますので。この件のガイドラインについてなら、主任カウンセラーに話を聞いてください。」
というわけで、ついでに主任カウンセラーにも会って行くことにした。
生徒ハンドブックの記載ではAPクラスだと問題ないと読めること。手続きの仕方を生徒にはどこかで知らされているものなのか。
そういうガイドラインの質問から、今回の息子の件も含め話す。
さすが主任。
まずはオフィスに電話を入れ、息子が用紙を再度持ってくる予定である事を確認し、次は校長に電話。
「校長、今日の午後のご予定は?お出かけの予定はなく学内におられます?明日の部活参加のためどうしても今日校長の認可が必要な生徒がおりまして。大丈夫ですね。」
こうして校長をに、息子が書類を持ってくる旨を伝え、つかまえておいてもらえた。
とはいえ、校長がサインしても、コンピュータ入力されないと終了ではない。
「息子のステイタスがクリアになったこと、どうすれば確認できますか?」
と念には念をいれてツメ。
「では、8時間目が終わったあと、再度オフィスに出向いて確認するように息子さんにテキスト送っておいてください。」
こうして、私側のできることはやった、というのが終わったのが5時間目の終わりくらいだっただろうか。
「7時間目の前に先生に会い、すぐに校長オフィスに提出しろ。で、8時間目が終わったらオフィスに行って完了したか確認しろ。」
もどってきたテキストは「どのオフィス?」
「書類を提出しにいったオフィス」
「OK」
テキスト交信はそれで終わった。
安堵もつかのま。
帰宅後、不安に駆られる。
もしかして、私のテキスト、息子は「8時間目が終わったらオフィスへ」のところしか目に入っていなかったりして・・・。
気になり、「7時間目前に提出にいくのだよ!」「ASAPで提出だよ!」などと何度かテキストしても、授業合間の時間を見計らって電話しても、何の反応もない。
もし、「OK。8時間目が終わったらオフィスに行きゃいいのか」とだけ理解して、それまで提出しに行っていなければ、アウトじゃん。
胃が痛くなりそうな時間がすぎ、8時間目が終わり学校が終了する時間に、再度高校へ出向き、息子をつかまえ一緒にオフィスに向かった。
「大丈夫。すでに入力をすませ、ステイタスがクリアされた事も部活の先生にメール済み」とにこやかに告げられた。
やれやれ。
手にしたオールステイト選抜オーディション参加の切符が、ヒラヒラと手から飛んでいくのをとりあえず避けることができた。
さすがの息子も、少しは焦っただろうから、これに懲りて普段の成績をちゃんと気にしてもらえれば良いのだが。
時間との戦いでハラハラとスリリング、私の方が胃が痛くなった。