1週間、就寝以外はサックス、サックス、サックス・・・
そして、最後に生徒たちのコンサートが開かれる。
最終日の明日はアンサンブルのコンサートで、その前日の今日は、それぞれのソロのコンサート。
今年の生徒は全部で13人。
2~3人はすでに大学生。
高校生はほとんどが12年生で、11年生一人(息子)、10年生1人、9年生1人。
多分、上手い生徒がトリとして最後に演奏するはず。
私がプログラムを組むなら、最年少を一番にはしない。
なんとなく、息子がトップバッターのような気がする。
会場に着いて、プログラムを見て驚いた。
ビンゴ!息子トップバッター。
教授がそこまで見抜いたとは思えないが、息子、意外に本番に強い。
緊張するのは確かだろうけれど、なぜか、本番でその時点でのベストを出し切れる男と言って良い。
幼少時から、空手のトーナメント等でも、だいたいそうだった。
客席を埋めるのは、生徒の家族たち。
どの親も多分、自分の子供の演奏は知っていても、ここに集まった他の生徒の実力がどんなものか興味津々のはず。
1番手は、そういう意味でも注目が集まる。
そんな中、緊張など見せず(私にはそう見えた)、今まで練習しているのを聴いていた中でベストと言える演奏を繰り広げた息子。
(素人の私にも「あ、間違えた」とわかる箇所はいくつかあるけれども、ね。)

良かったんじゃない?
ほっとして、あとは他の生徒たちの演奏を楽しむ。
さすが、みんなそれぞれの州でAll-Stateに選ばれているのはあたりまえ、他にもコンテストで優勝していたり、トップクラス。上手い。
と同時に、その中に入っていても場違いではない息子に、改めて「すごいじゃん」と思った。(親バカ)

コンサート終了後、控え室から出てきた息子に労いの言葉を掛ける。

その後は、さっさと仲良くなった他の生徒たちの元へ去っていく息子。
自分の学校では、息子ほどのサックスマニアが周りにおらず、物足りなさを感じているらしいが、ここで同じようなサックス小僧たちと出会えて嬉しかったに違いない。
「じゃ、僕らは何か食べるもの買って寮に戻るから、また明日。」

同類意気投合なサックス小僧たちと夜の街に消えていく息子の背中を、嬉しい気持ちで見送った。
クレストンのソナタ、動の第1楽章と、静の第2楽章。