
日本にも「シロガネーゼ」などというように、特徴のある層が住む地域という区分はあるが、アメリカではそういった「地域の特徴」がもっと顕著別れるような気がする。
そして、自分のライフスタイルに合わせて住む地域を選ぶことになったりする。
我が家がオーステインで住処を探す際に重視したのは、やはり子供にとっての環境。
良い学区選びは子供のいる家庭には必須。というわけで、学区が良いと評判の地域である今の家に決めた。
近所の環境も小奇麗でいい。が、その小奇麗を保つルールが存在する。
「HOME OWNERS' ASSOCIATION」(HOA)の存在だ。
いわば「町内会」とでも訳しておくが、住人から立候補した代表が選挙で役員となり、定められたルールを住人達が守って「小奇麗で安全なご近所」を保つのだ。
そして、ルールの一つが、家の外見を変えるには、このHOAの建築部門に「これこれをしたい」と申請しOKを取ってからでなければいけないという事。例えば、お隣がいきなり外壁をピンクに塗って見苦しいなどというような事が起きないようになっている。
規制があるのはいい事なのだが、なんとなくお役所仕事的で頭痛が・・・という戦い(?)の話。
それはお隣のAさんからの「塀を付け替えたいのだけどウチとお宅の間にある塀も変えるのはどうか?」という提案から始まった。
じゃあウチの塀も一緒に全部取り替えちゃおう~と話にのった。
材質やデザインを話し合ううち、ついでに庭全体も手を加えようと、プロジェクトが大きくなっていった。
ウチもAさんも、もったいないことに裏庭はほとんど使わない状態だったのだ。その理由は「傾斜」。
キャッチボールをするにしても庭に椅子を置くにしても、傾斜が邪魔をする。
この際、低い部分に石壁を作って持ち上げ、庭全体を平らにして使えるようにしようという話しになった。

(↑イメージ図。低い方にこういう壁 をつくり土砂を埋め込んで高い方の地面の高さまで持ち上げる。もっとも、土砂をただ埋めるのでなく、水はけ用のパイプを中にくんだり、壁の強度のために支柱を埋め込んだり・・・簡単ではないのだけど)
庭のデザイン会社に希望を伝え、デザインプランの図もお互い作成し(これだけで数万円かかった)、業者見積もりも何件もとり、結局第1期プロジェクトとして、とにかく庭を平らにし、2軒の間には塀もなくしてお互いの庭も含め広々と眺められるようにする事で合意。両隣のお宅にも庭の変更OKの承諾を得た。
が、HOAである。
数ヶ月の下準備のあとで2軒で出した「庭改造申請」を即座に却下。理由が「プロジェクトの必要性が見られない」。
なんですと~。
もしかして現場である庭を見に来ることもなく却下?とにかく話し合いもないまま「ああそうですか」で引き下がれない。
「必要性」の説明、庭の改造が近所全体の価値アップにも貢献することなどとともに、却下される前にとにかく現場で話し合いをするべきだ、と係りの人たちを呼び出した。
しぶしぶ(全員ではないが)やってきた係員、「あのね、ルールでは塀や壁は6フィートまでと決まっているの」「だから6フィートの壁にしてるじゃないですか」「でもね、あなたたちかご近所かが引越しして新しく住むことになった人がその上に塀をつけたいと言い出したら12フィートになるでしょう?」
だったらディスクロージャーに塀は追加できない事を明記していけばいいではないか。
とにかく融通が利かないというのか、「ダメ」というのが大前提になっているようなのだ。
(だいたい、ウチの裏庭の向こうは自然保護地区がひろがるので、誰からも壁が見えないのだけど・・)
が、Aさんは引かない。施工業者も呼んでいて、細かい部分の説明もしてもらったのが良かったのか、係員、態度が軟化してくる。
結局、Aさんがわのプラン説明に補足が必要なのと、我が家側は木の伐採を含むのでそのプランももれなく記して申請しなおせばOkがでるような感触で話し合いが終わった。
(直径6インチ以上の木は、これまた承諾なしに切れないのだ。だが、係りの人から「お宅の場合自然火災の危険性で所有地から**以内の杉の木は伐採するようにという規定が使えるから、火災防止で伐採を申請するとOK」とOKがでる方法まで教えられた。)
という訳で再度申請。これで通れば「使える裏庭」実現に向けて工事が始められる。
さて、どうなるか。
本日のTシャツは、HOAの係員は弁護士ではないのだけど、なんとなく、ね、で「トラビス郡弁護士協会」のTシャツ。
胸の「UNITED WE STAND」は、911テロの際の盛んに使われたスローガンで「一帯となって立ち向かうぞ~!」みたいな意味。
Aさんと「UNITED WE STAND」なわけだが、Aさん、とにかく手回しを惜しまないし、押しが強い。
UNITEDして心強いご近所、なのである。