
今日10月4日は、作家辻仁成の誕生日。48歳になられたそうで。
作家、と書いたのは現在の主たる活動が作家であるからだが、辻氏はミュージシャンでもある。
私自身は、辻さんの書籍は一冊だけ、それも自伝的エッセイを読んだだけなので、作家としての辻さんについては知らない。
私にとっては、彼は「エコーズ」の辻仁成。
ちなみに辻氏は、作家としては辻仁成(ひとなり)で、ミュージシャンとしては辻仁成(じんせい)と名前の読ませ方と変えている。なので私にとっての辻氏は「つじ・じんせい」になる。
私のエコーズとの出会いは、85年のデビュー直前。
昔私が仕事をしていた職場には某レコード会社のサンプル盤が届いていたのだが、ある週末、仕事が片付かず休日出勤した私は、オフィスに他に誰もいないのをいい事に、このサンプル盤からBGMを流しながら仕事をすることにした。その時の一枚が「エコーズ」のデビューアルバムだった。
第一印象。「なんだかヘンテコな世界・・・」
その印象を説明するのに、アルバム中の一曲から歌詞を引用すると
♪給食のパンを届けに来る 君だけが頼り
♪お願いだから どんなに離れていても 必ず遊びに来てね
あったよ~。小学校の時欠席した子の家に給食のパンを届けに行った事。
アルバムのタイトルは「Welcome to the Lost Child Club」。コンセプトはどうやらいじめられっこや引きこもり的な子供達の気持ちを歌い、メッセージを送るというものだったのだと思う。
だが「給食のパンを届けに来る君だけが頼り」と歌われると、ストレートすぎてかっこ悪くないか?変な歌詞。
このストレートすぎて恥ずかしくもあるヘンテコな歌詞が仁成の策だとしたら、はまってしまった。
「変」ゆえに気になってしまった私はライブに出かける。そので目にしたPVになぜかひきつけられてしまう。
そうやって以降ずっと「変」「なぜか」と思いつつ、エコーズの成長を追い続ける事になる。
一風変わった歌詞と、ロックには向かないのではないかと思う仁成のボーカル以外、エコーズの音は好きだった。
と書いてしまうと、仁成をないがしろにしているようだが、「彼はマーケティングが上手い」と評価していたエコーズ・スタッフがいたが、その長点が欠点にもなり、策に走りすぎでしかもそれが見えてしまうのが難点に思えた。
というのが私にとってどういう感じかというと、「ココが嫌い!とはっきりわかっていて、接するとイライラするのになぜか気になる」存在。
「給食のパン」の歌詞でであったデビューアルバムの衝撃からセカンドアルバムを頂点に、エコーズは解散までアルバムを聴き続け、ライブもかなりの数を目にしてきた。
先日、アナログLPで持っている1st、2ndアルバムなどをデジタルファイル化するのにものすごく久しぶりに聴いてみた。85年の春が脳裏に蘇る。懐かしい。
解散後は辻仁成としてのアルバムはほとんど聴いていない。
私にとってはやはり辻仁成は「エコーズを仕掛けたジンセイ」なのであった。
今度ちゃんと直木賞作家辻ヒトナリの小説も読んでみないとね。
本日のTシャツは、辻仁成さんの誕生日記念で、辻さんが活動されていたバンド「エコーズ」のファンクラブ用Tシャツ。
胸元に小さいプリントがあるだけのTシャツで、E.O.Yというのはファンクラブ名「ECHOES OF YOUTH」の略。その下に小さく書かれている文字は「THE BRAVE ROCK'N ROLL KIDS CLUB」。
