
オースティンで、毎年3日間行われる大きな野外コンサートがある。
「オースティン・シティ・リミット・ミュージック・フェスティバル」というこのコンサートは、会場にいくつかのステージが設けられ、観客は見たいアーティストのステージを移動しながら楽しむという、日本でのフジロックなどと同じような形式。
今年は来週、9月14~16日に開催されるのだが、3日目最後のメインステージでの大トリはボブ・ディラン。
ディランは、その前日にライブハウスでもコンサートを行う。
ボブ・ディランは私の好きなアーティストのひとりで私が人生で始めて買った洋楽レコードがボブ・ディランの「風に吹かれて」の収録されているセカンド・アルバムだった。
このアルバムのディランが恋人のスーズ・ロトロとヴィレッジを歩く姿が気に入り、ニューヨークを始めて訪れた際、この撮影場所を見つけたくてヴィレッジを歩き回ったりした。
ディランの初来日は78年で、この時の様子は「武道館」というライブ・アルバムも発売されている。
この78年の来日時には、私は大阪の松下体育館でのコンサートに行った。来日公演の告知が新聞に載り、興奮。行きたいと思ったが当時の私にはチケットが高く、少々予算が足りなかった。
「あ~あ!」とため息をついている私に、「ボブ・じゅらんって変な歌歌ってる人かいな」などと言いながら、母が「そんなに好きなら、少しならお金出してあげるから行ったら?」と救いの手を差し出してくれた。ボソッとこういうことをしてくれる、母はいつもそういう感じで、このボブ・ディランの公演のことも思い出すたび、私がため息で眺めていた新聞告知と母の照れたように差し出す愛情の記憶が必ず思い出される。
ディランの公演はその後も84年にトム・ペティと来日した際の武道館なども見に行っている。
最近読んだ記事。
ボブ・ディランがお孫さんが通う幼稚園に行き、ギターを弾きながら歌ったのだそうだ。
だが、ディランの歌を至近距離で生で聴けた幸運な(はずの)幼稚園児たちは、親たちに「今日変なおじちゃんが来てお歌を歌った」と報告したのだそうだ。
本人も苦笑い。まあ、確かに、幼稚園児にとっては「変なおじちゃん」でしかないのは不思議ではないかな・・?
本日のTシャツは、03年のディラン・デイのTシャツ。
一緒に写っているのは、ボブ・ディラン&ザ・バンドのアルバム「地下室」。これは、75年に「ポップス・イン・ピクチャー」というKBS京都のTV番組で当選していただいたもの。
「POPS IN PICTURE」という番組は、75年当時、ものすごく珍しかった貴重な洋楽番組だった。ラジオで聴いていた洋楽のアーティストの姿をここで始めて目にし、食い入るように眺めたものだった。
番組のジョッキーは「川村デデこと川村龍一」さん。彼自身も、番組でビデオを紹介しながら「いやあ、サイモンとガーファンクルが歌っている姿なんて始めて見ましたね~」などとコメントしながら放送されていた。
当選していただいたこのアルバムのジャケットには、その川村さんのサインも入っている。#100と書かれているのは、確か放送100回記念の特別プレゼントだったのだと思う。
今のように洋楽情報が氾濫していなくて、週に一度の洋楽情報TVを食い入るように見たり、来日公演のチケット入手にため息したり・・・容易に手に入らない中で好きな洋楽を探した時代は、もどかしいながら幸せな時代だったような気もする。
地元オースティンのそう遠くないところに、ボブ・ディランが来週演奏にやって来る。Like a Rilloing Stone。