
今年も水泳シーズンが始まった。
といっても、子供のである。
毎年、5~6月に町内の子供達の水泳チームが活動する。参加する子供達は、学校のある5月は放課後、夏休みに入ると午前中に、平日は毎日コーチのもと練習する。そして毎週末、近隣のチームとのトーナメントを行う。
学校のイベントや商業ベースでのトーナメント等ではないので、運営は全て参加する子供達の父母が担当する。トーナメントの日は、のんびり子供を見ている親はいない。タイムをとる係、スターター、年齢ごとに別れた各チームのまとめリーダー、種目ごと子供たちを誘導する係・・・・。暑い季節、泳げる子供たちと違い、親たちはプール周りで汗だくで仕事をする。
朝7時集合で全ての競技が終了するのは正午を越えることもある。テキサスの気温はすでに30℃近いなかで5時間野外作業。
競技種目は自由形、平泳ぎ、バタフライ、背泳ぎ、リレーであるが、子供達は自分の得意な種目を専門にやるのではなく、みんな全ての泳法を練習する。チーム参加年齢は上は17歳までで、下は「6歳以下の部」とあるだけなので何才でもOKなのだろう。チームに入る資格は「25m泳げること」である。
6才以下の子供たちが背泳ぎする中には、泳ぎというより、仰向けで浮き沈みしながらゆっくりなんとか進んでいるような子もいる。こういう年齢だと、どんなに時間がかかってゴールしようが、負けたという意識もなく、がんばったという気負いもなく、淡々とやりぬいてしまうのに「幼児のすごさ」を感じてしまう。
今日のトーナメントは、対戦チームのプールで行う「アウェイ」。
日ごろは知ることもない、近隣にはあるが公共オープンでないプールを訪ねる機会になるのもちょっとした楽しみ。今日は、そう遠くないところにあるゴルフ場内。隣にテニスコートがあり、奥にゴルフ場。クラブハウスをそって覗いてみたが、高級そうだった。
ただし、使うのはプールだけであり、ずっとプールサイドで進行の仕事をしているだけなので、せっかく優雅なゴルフ場内にあっても、いつもの「マイ・チーム・プール」とさほど違いはない。
ただ、スナック販売が調理施設のあるゴルフ場ならではだった。クラブハウスから運ばれてきた、ちゃんとしたサンドイッチやフルーツ、サラダ・・などが並ぶビュッフェ形式。サンドイッチはパンの表面がパリッとして美味しかった。
ちなみに我がチームが「ホームチーム」として行う時に販売するのは、ポテトチップやクッキーなどの市販のお菓子に加え、配達でとったピザという程度なのである。
子供達は自分の出番以外は、プール周りの芝生に椅子やタオルを並べて待機する。ここで活躍するのがゲームボーイ。友達同士でゲームを見せ合って裏技情報を交換したりするが、知らない子がやっているのを見かけても、情報交換が始まる。ゲームボーイは子供達の社交ツールの一つとしアメリカでも定着している。
女の子達は、ゲームがなくてもおしゃべりに余念がないようだが。
子供たちには楽しいであろう、そして親にとっては、週末なのに早起きし炎天下作業が続く、スイム・シーズン。
やれやれ・・だが、成り立っているのはどの親も、子供が楽しむ姿、毎年成長していく姿(泳ぎ)のためならばがんばれるからなのだろう。楽しそうな子供達の姿を観るのも良いが、それより、トーナメントを成り立たせている親たちの真剣に担当仕事をする姿を見るのが、嬉しくなってしまうのだった。
そして、今は泳いだり仲間と楽しむのに忙しい子供たちも、きっとこんな親たちの姿を見ているはずだ。
本日のTシャツは、03年のNCAA大学女子の「水泳トーナメント」Tシャツ。