
日本はGW。長期休暇がとれる人々はこの週末に旅行に出られるのだろう。成田が出国ラッシュだという。
旅先で、自分自身に記念土産としてTシャツを購入することはある。ただ、ボストンを訪問した時には元オリンピックマラソンのビル・ロジャーズが経営する店で「ボストン・クロカン大会」のシャツを買ったり、メンフィスならブルースのライブハウスのシャツを買ったり、ちょっとひねった選択が多い。が、観光客向けのお土産屋で選んだ物もなくはない。
そんな観光地のお土産Tシャツの1枚から、シャツの原材料の綿の産地(ちなみにテキサス)、繊維工場、小売店、更に古着の回収・流通と、「1枚のTシャツの一生」をたどっていくという内容の本を読み始めた。
「The travels of a T-shirt in the global economy」という本である。
著者リボリ氏が「Tシャツの旅」をし、著書にまとめ始めた経緯はこうだ。
あるシンポジウムでひとりの若い女性が聴衆に向かって言った。「誰が貴方が今着ているTシャツを作ったのでしょう?」
彼女は続けた。
「ベトナムで子供たちが飲み食いもせずにミシンにつながれて作ったものでしょうか?それともインドの若い女性が、トイレには1日2回しか行くことを許されず、自給18セントで作ったものでしょうか?彼女が12人で部屋も寝床もシェアし、残業手当なしに週に90時間労働を強いられながら。彼女には発言の自由も労働組合に入る権利もなく、貧困と病の生活をしている事を知っていますか?そしてその全てが「ナイキ」の利益のためだという事を」
リボリ氏は思った。「知らなかった。でもなぜ彼女はそんな事を知っているのだ?それが作り話でないという証拠を見せられるのか?」
彼女が語った話が現実であり、その証拠を世に示すべく、それから数年、リボリ氏は「Tシャツの一生」をたどり世界中を旅する。それをまとめたのがこの本だ。
読み始めたばかりなので、リボリ氏がフロリダの観光地で1枚700円程のお土産用Tシャツを手にし、製造元であるメーカーに連絡をとり、工場見学に招待してもらうところまでしかまだ読んでいないが、興味深い本である。
「スエット・ショップ」といわれる労働問題。途上国で低賃金、過酷な労働で作らせたものを売り、企業が利益を得るという問題の現場を検証しているのだ。
ちなみに、日本でも翻訳され「あなたのTシャツはどこから来たのか?~誰も書かなかったグローバリゼーションの真実」というタイトルで発売されている。
さて、本日のTシャツは、成田出国ラッシュ、安全で楽しい旅をそうぞ!で「ビーマン・バングラディッシュ航空」のTシャツ。
「GULLIVER」という旅行雑誌の懸賞で当選していただいたもの。確か1990年前後の時期だったと思う。
ビーマン航空は、81年に日本乗り入れを運休したあと、90年に成田空港乗り入れを再開しているので、それを記念した懸賞だったのかもしれない。
旅行に出る人も、出ない人も、楽しいGWを!