
先日、78年のTシャツデザインをもとにした、「レトロ」デザインのRUN大会30周年記念Tシャツの話を書いたが、別の大会で「参加シャツはレトロデザイン」とうたっているものがもうひとつあった。この「レトロ」デザインの共通点は、首と袖口が色ラインで縁取りされた「リンガーTシャツ」と呼ばれるものだった事。
では「リンガー」がレトロなのか?と、自分のコレクションのリンガーTを思い浮かべてみると、確かに78、79年入手した米国製のシャツがリンガーだった。やはりこの型、70年後半の米国での流行だったのだろうか?
これがその1枚。レボン・ヘルム&オールスターズの来日記念に、招聘元のトムズ・キャビンが作ったもの。確かに78年のもので、シャツ本体はMADE IN USAだ。当時、雑誌の懸賞で当たって手にした。
レボン・ヘルムは、ボブ・ディラン&ザ・バンドで有名になった「ザ・バンド」のドラマー。76年に解散コンサートを行った模様は、ドキュメンタリー映画「ラスト・ワルツ」として残っている。この映画を監督したのが、今年アカデミー賞を手にしたマーチン・スコセッシ。
レボン個人では、カントリー歌手ロレッタ・リンの生涯を描いた「歌えロレッタ、愛のために」に、ロレッタの父親役で出演している。この役はなんだかピッタリだったなと思う。
97年には「沈黙の岸壁」という映画に出演し、映画の中で歌も披露しているらしい。
ザ・バンドは83年に再結成し「The Band is Back」というツアータイトルで来日もしている。このツアーの時、私は東京で2公演を見に行っている。ステージの演奏の模様などはあまり記憶に残っていないが、最後にバンドメンバーが手をつないで腕を上げて挨拶したのがものすごく印象に残っている。ザ・バンドの姿をこの目で見るのはこれが最後だという気持ちで見ていたからだろう。
話をTシャツに戻すと、このリンガーと呼ばれる縁取りTシャツ、昔のアメリカの「体操着」のイメージっぽい。アメリカでは、それもあってレトロなのだろうか。
リンガーTは今でも別に珍しくはなく存在するのだけど、この78年ものが今のシャツと違うのは、カットが細めだということ。米国製の同じサイズでも、今のほうが昔のよりシルエットがゆったりしている。
私の手元で30年たっているシャツだが、今でも見ると、これが当たって送られてきた時の嬉しさが思い出せる。ちょうど音楽を24時間聴いていたかった、音楽が生活だったような頃の「青春の1枚」だ。