かーなりお久しぶりに続きを書きました
まことに、まことに、申し訳ないでございます。。。
ここからまた、ちょいちょい更新できればと思っております故、何卒何卒!よろしくお願い致しまする〜←何キャラwww
夕暮れ時の空を茜色に染めながら夕陽がゆっくりと地平の向こうへ沈んでいく。そんな夕陽をいつもの屋上で眺めながら私は大きく息を吐いた。
あの夜この場所で会ったのを最後にジヨンはお店にも、この場所にも全く姿を見せなくなった。
私の目の前から忽然と姿を消した彼。
携帯の番号すら知らない私と彼を繋げるものは、この屋上以外には何もない。
だから毎日のように私はこの場所を訪れていた。
どうして?
なんで?
そう思ったところでジヨンはここに訪れる事はなかった。
夕陽が完璧に沈み切る刹那、辺りが闇に包まれ始める。
今日も彼は来なかった。
もう韓国に帰ってしまったのだろうか。
もう二度とジヨンに会える事はないのだろうか。
そう考えると、思うだけでいいなんて言っていた自分を恨んだ。あんなのただの強がりでしかなかった。
もう会えないのだと思うと喉の奥から込み上げてくる、寂しさを吐き出すように声をあげて泣いた。
「大丈夫ですか?」
私は声の方へ振り返ると長身の男性がこちらを見下ろしている。私は慌てて立ち上がり、頬を伝っていたいた涙を手のひらでゴシゴシ拭きその男性を見上げた。
「あ〜…大丈夫です、すみません。うるさかったですよね〜」
何でもないふりをして、浅薄な笑みを浮かべて見せた。
「別に無理に笑わなくてもいいのに。僕はあなたをうるさいとも思わなかったし、責めようとも思ってないよ。むしろ感情を表に出してそんな風に泣く事のできるあなたは、とても美しいとすら思ったよ」
彼の軽く、柔らかな声はとても耳心地がよかった。
「…ありがとう」
美しいなんで初めて言われた。
「何がそんなに悲しいの?」
そう問いかける彼はその声と同様に優しく、そしてとても柔らかに微笑んでいた。
「もう、会えないから…」
ただそう話すと彼は、何も聞かず辛かったねと私の頭を撫でた。
余りにもその手が温かくて、私は溢れ出る涙を止めることができなかった。
そんな私が泣き止むのを、彼は何を言うでもなく、何をするでもなく、ただ静かに側にいてくれた。
帰りのエレベーターの中でも彼は気さくに話してくれた。
「実は何回か、君の事見てたよ。屋上で」
「そうなの?何か恥ずかしいんだけど」
私がそう言って俯くと彼は腰を屈めて、私の顔を覗き込んだ。
私が何⁉︎とからだを仰け反らすと彼はニコリと笑って見せた。
「 恥ずかしがってる顔、みようと思って」
変な人だ。と思うのと同時に人懐っこい彼に自然に心を開いていた。
「ねぇ、名前は?」
不意に彼が聞いてきた。
「ましろ」
「ふ〜ん、変わった名前だね。俺はレオ」
「レオさんだって、珍しいじゃん」
「レオでいい、俺もましろって呼ぶ」
そんな会話の中で嶺が私の顔をまじまじと見て言った。
「ましろって笑うんだね」
「え?」
唐突な言葉に首を傾げるとレオはふふっと笑い言葉を続けた。
「だって屋上で見るましろはいつも泣いてたから、こんなに笑うとは思ってなかった」
私はなにも言えずに笑顔を作るので精一杯だった。
「また、無理して笑ってる。ましろを泣かせる彼はさ恋人だったの?」
「…違う」
「そっか」
彼が居なくなって改めて実感した。ジヨンの事こんなに好きだったんだって。
それも全て私が勝手に彼を想って、一人で勝手に傷ついてるだけ。
ジヨンにはあの女性が傍にいる…私の出る幕なんかない。
私は同じ舞台にすら上がってない。
「違うよ…」
小さな声で呟いた私の声はレオには届かず、エレベーターは目的の階に到着し静かに扉が開いた。
レオはサッとエレベーターを降りるとこちらに振り返り胸の辺りで手を振っていた。
「じゃあ、またね」
そう言ったレオを残してエレベーターは入口を閉じた。
レオとの時間の中でほんの一瞬だけジヨンの事を忘れて本気で笑っていた気がした。
私はたった一人になったその箱の中でうずくまった。
瞼を閉じて浮かぶのは、やっぱり彼の姿だった。
「…嫌だ…忘れたくないよ…」
瞳からは次々と涙が溢れた。
「会いたいよ…ジヨン」
どんな形でもいい。ただ、彼に会いたかった。
Let's not fall in love 第5話 fin.