if you 第20話 | BIGBANG ジヨン中心の何でもありの妄想日記*..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .

BIGBANG ジヨン中心の何でもありの妄想日記*..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .

妄想小説あり、イラストあり、日常あり、ダイエットありの、何でもありの何でも日記っ♪(´ε` )

楽しみましょう*\(^o^)/*

おそらく、ほぼ小説w









先日のクラブの夜から数日後、私は日本に戻って来た。
あの夜から暫く経つがあの女性の言う「タノシイコト」と呼べるような事は、韓国にいる間も日本に戻ってからも何一つ起こりはしなかった。私はこのまま静かに何も起こらなければいい、そして何よりジヨンが傷つくような事が起こらなければいいとそればかりを祈っていた。
韓国にいる間、ジヨンは元気のない私を心配して残りの日数をずっと一緒にいてくれた。
どこに出かける事もせずに私たちは二人の時間を過ごした。

「大丈夫?元気ない?」

そう心配そうに尋ねるジヨンに私は笑顔で「元気だよ」と答えた。
私はジヨンにはあの女性の事は話さなかった。
嘘とは、また違う。
まだ確定もしていない事でジヨンの心配事を増やしたくはなかった。
不安にさせたくはない。
不安は伝染して勝手に増殖して行くから…私で堰き止められるならそうしたいと思った。そう考えると話さないと言うよりは話せなかった。

だけど現にあれから随分経つのに、変わった事は何一つ起こってはいない。やはり彼に話さなくて良かったと私はホッと胸を撫でおろした。



* * * *



私はジヨンと韓国で過ごした夢のような日々の代償に日本に戻ってからは働き詰めの忙しい毎日を送っていた。ジヨンもジヨンでアルバムの製作やBIGBANGの活動やGD個人の活動で忙しいらしく連絡の回数も少し少なくなっていた。
それを淋しいと思う反面、G-dragonとして頑張る彼を応援したい、支えたいと思う感情が私のこの胸に芽生え始めていた。

「お疲れさまでしたー」

職場の方に挨拶を済ませ私は店を後にした。
店を出ると少し冷たくなった秋風が吹いていて私の頬を掠めていく。
昼間はまだ日も照っていて暑いくらいあったのに夜になるとガラリと表情を変え少し肌寒く感じる程になっていた。
私はTシャツの袖口から出る自分の腕を擦りながら遠く離れた彼に語りかけるように「…寒くなったね」と呟いた。
そしてバッグの中から携帯を取り出し液晶を見るとそこにはジヨンからのLINEが入っていた。その事に自然に頬が緩み、家に帰ってからゆっくり返信しようとイヤホンを耳につけてそこから流れる彼の歌声に耳を預け、私は歩き出した。

マンションに着きいつも通り郵便物のチェックをしていると、宛名も何も書いていない分厚い封筒がポストの中に入っていた。それはよく見ると切手も消印も無いものだった。なんだろう…そう思いながら私は自分の目の前でそれを裏返したり、透かしたりしながら見つめた。
私はエレベーターに乗り込みボタンを押すと静かに上昇していく小さな個室の中で考えを巡らせていた。

ー消印が無くて住所も何もないって事は直接ポストの中に入れたって事…?

私は自分の持っているこの茶色い封筒を見つめた。

ーいったい、誰が?

言いようのない不安がじわじわと私の心に広がっていく。
目的の階に着きエレベーターのドアがゆっくりと開き、私はまるで何かから急かされるように自分の部屋へと足早に向かった。
部屋の中へ入ると玄関の鍵をかけてそのまま封筒の口を開けてその分厚い中身を取り出した。

「…っ……」

声にならない悲鳴と共にバサバサと音を立てて私の手からそれは滑り落ちていく。
私は右手を口元に当て玄関の床にへたり込んでしまった。呼吸が荒れる。心臓が恐怖のせいで早鐘のように鳴り続ける。
私は落ちたそれに、ゆっくりと手を伸ばし見つめた。

写真だ。

震える手でその写真たちを拾い一枚、一枚確認していく。その小さな四角い写真の中には楽しそうに笑いあう私とジヨンの姿がはっきりと写っている。夜の街を手を繋いで歩いている姿や、あの旅館の散歩道で手を取りあって雨の中ジヨンの歌声に合わせて体を揺らしている姿、それから韓国のクラブでジヨンが私に口付けている姿。
そして半分に折りたたまれたメモ用紙が一枚封筒の中から出てきた。そこには恐らく日本人ではない不慣れな日本語と真っ赤な文字で私へのメッセージが綴られていた。

(わかるでしょ?ずっと見てたんだよ。ジヨンはあなたのものじゃないよ。どうすればいいかわかる?たのしいことする?このままだとジヨンはどうなるのかな?たのしみ。あなたの選択肢はひとつしかないよ…よく考えて)

全身の力が抜ける。持っていたメモ用紙がヒラヒラと床に落ちていく。
私はだらりと床につく自分の手を見つめた。

考えるまでも無い。
ジヨンを守れるなら何だってする。
あの時、私が私に約束した事だもの。
例えそれが私の望まない結末でも…
例えそれが私を傷つける事になっても…
そして何よりジヨンを傷つける事になったとしても…
それでも私はジヨンを守りたい。
ジヨンには笑っていてほしい。



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私はきつく瞳を閉じて、大きく息を吸い込んでそしてゆっくりと吐いた。

何も起こらないでって願ったのに。
彼に傷ついて欲しくなんかないのに。
私の願いは、私の祈りは何も届いてなんかいなかった。
ずっと側にいて欲しいって願ってた…
ずっと側にいたいって願ってたのに…

私は苦しくなる胸を左手で押さえながら玄関の天井を仰ぎ、瞳の端から溢れでる涙を拭う事すらも出来ずに、ただただそこに散らばる幸せそうに微笑む二人の写真に囲まれて声を殺して泣き続けた。








if you 第20話                        fin.



※画像はお借りしました。