if you 第13話 | BIGBANG ジヨン中心の何でもありの妄想日記*..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .

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妄想小説あり、イラストあり、日常あり、ダイエットありの、何でもありの何でも日記っ♪(´ε` )

楽しみましょう*\(^o^)/*

おそらく、ほぼ小説w





夢を見た。とても不思議な夢だった。
真っ白な世界に俺は一人立っていて足元には昼間見た、たくさんの花たちが咲いている。白い世界と色とりどりの花。
遠くの方で人影が揺れたのが見えた。
その人影は数歩だけこちらに近づいて止まり俺の方を見つめている。俺は目を凝らしてその人影を見つめた。彼女だ。
昼間、デイジーの花を見て彼女の事を思い出したからこんな夢を見ているのか…と夢の中の俺は思った。
彼女は何も話さず真っ直ぐと俺を見ている。

「…ごめんな」

彼女に伝えたい言葉。

「ありがとう」

君を憎んだ日々もあった…だけど、このみに出逢えて俺はまた人を愛せたんだ。
彼女と別れた時、もう二度と女なんて信じない。もう二度と、誰も愛さない。俺は俺自身を独りに追い込んでいった。
もう自分が誰なのかもわからなくなった…
そんな時、俺はこのみの柔らかい笑顔に出逢った。このみは俺に「寂しそうだ」と言った。
そうだ。寂しかった…
俺は寂しかったんだ。
もう、誰も愛せないのか?
もう、誰も俺自身を愛してくれないのか?
そんな事を考えてしまう自分が悲しくて、寂しかったんだ。
そんな俺をこのみは、優しい声と柔らかな瞳と温かな笑顔で救ってくれた。
静かに…だけど、それは急速に心に広がっていく。心が解れていくのを感じた。

俺は彼女を見た。
彼女の名前を呼びそして、また「ごめん、だけどありがとう」と伝えた。
彼女は少しだけ笑ってまた白い世界の中に消えていった。

「さよなら」

都合のいい夢だと思いながらもどうしても伝えたかった。
君のお陰で俺は愛を知って、そして愛を失う事の辛さや苦しさを知った。

だから二度と失わない。
このみだけは絶対に、失いたくない。

そう思い俺は拳を握りしめ振り返ると
そこには笑顔でこちらを見つめるこのみの姿があった。
俺はこのみの元へと駆け寄りきつく抱きしめた。このみは俺の背中に腕を回して「ちゃんと言えたね」と言って背中をさすってくれた。
本当に都合のいい夢だ。
だけど今は夢の中のこのみに甘えていたい。
この小さくて、温かなぬくもりを感じていたい。俺は掠れる声で「…うん、やっと言えた」と呟くとこのみの首筋に顔を埋めた。
夢の中なのに不思議とこのみの匂いがする。
そんな事を思いながら、夢の中の俺は瞳を閉じた。



俺はゆっくりと瞼を開けた。
暗闇の中で自分の顔に当たる柔らかな物と匂いを感じた。
夢を見ていた。ぼやっとする思考の中でその声は遠くから俺の耳へと入ってきた。

「………っふ……」

泣き…声…?

「…このみ?」

俺は慌てて身体を起こし暗闇の中で少しずつ見えてくる彼女を見つめた。
このみは顔を両手で覆って、泣いている。
俺はこのみの肩を掴んでこちらを向けたがこのみは頑なに、顔を見せようとはしなかった。まるで何かを隠してるみたいに…
俺の背中に回したこのみの腕が何だか少し震えているようにも感じて…痛いはずなんてないのに、俺に抱きつくこのみの腕が痛かった。
俺は「怖い夢を見た」と言って泣き続けるこのみを抱きしめた。「ごめん」と小さく呟くこのみを安心させるように「ずっと側にいるよ」と告げた。

ずっと側にいる。
この言葉に嘘偽りは一つもない。
だから、俺にもっと見せて欲しい。
どんなこのみも受け入れるから隠さないで。
そんな思いも込めて俺はこのみの柔らかい髪に唇を押し当てた。



翌朝、俺はリハーサルの為このみより先に旅館を出なければならなかった。
俺の隣で眠っているこのみを起こさないように静かにベッドを抜け出し、着替えて準備を整えた。俺はベッドの脇に座りまだスヤスヤと眠るこのみを見つめた。

昨夜の事を振り返る。
俺たちは一つになった、このみに愛を囁きこのみも愛を囁き返してくれた。
あの甘いひと時を思い出すとまた胸が高鳴り喜びに震える。

だけど、このみの涙が俺の頭から離れない。俺の腕の中で怖い夢を見たと言って泣いていたこのみ。
何かを隠すように顔を覆って俺に「ごめん」と謝ったこのみの涙。

俺は何かを見落としているんじゃないか?そんな考えが頭を過る。
そして、眠っているこのみに向けて俺は静かに手を伸ばし彼女の少しだけ腫れている瞼をゆっくりと撫でた。





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「…どうしたの?」

眠る彼女に問いかけても勿論、返事なんて返ってはこない。
一秒だってこのみを悲しませたくはないのに、ずっと笑っていて欲しいのに。

『普通の恋愛はできない』

不意にヨンベの言葉が俺の頭を過ぎった。
俺はその言葉を振り払うように大きく首を横に振ってキツく瞳を閉じた。

そして、俺は眠っているこのみにそっと口づけて「行ってきます」と声をかけこのみの眠る部屋を後にした。


リハーサルも無事に終わり楽屋に戻って俺は携帯を取り出した。
このみから一時間ほど前に「今、無事に着いたよ。楽しかった」とLINEが入っていた。俺は「よかった、先に帰ってごめんな」と返信して携帯をソファの上に置いて大きく息を吐いた。

あんなに幸せな時間を過ごしたのに、心はこんなにも重い。

「どうしたの?ため息なんてついて」

隣に座ったテソンは俺に声をかけた。
俺はテソンを見て「んー…」と歯切れの悪い返事をした。

「まぁ、ヒョンが話したくないならいいけどね」

そう言ってテソンは手に持っているペットボトルの水をガブガブと飲み始めた。

「俺もそんな風に考えられたらな」

俺がそう言うとテソンは勢いよく飲みすぎたのだろう口から零れた水を手の甲で拭きながら俺を見て「ん?」と首を傾げた。

「このみちゃん?」

俺はテソンの言葉に眉をピクリと動かして唇を突き出し誤魔化すように首を傾げた。

「何か話してくれないの?なら…少し時間をあげたら?話すまでに整理したいのかもよ?てかヒョンが変に考え過ぎてるだけかもだしね」

そう言ってテソンは俺の肩を叩いて
「大丈夫!」と言って笑った。
俺もつられて頬が緩む。俯いてふっと笑うと何だか気持ちが落ち着いていくわかった。

テソンはゴソゴソとズボンのポケットから携帯を取り出し「返信しとかなきゃ」と言ってLINEを送り始めた。俺は茶化すように「女?」と尋ねるとテソンはニカリと笑って俺に視線を合わせた。

「そだよ♫……でも、ヒョンのね♫」

俺は眉根を寄せてテソンを見た。テソンは鼻歌交じりに自分の携帯の液晶を見ていた。

「ちょ、待って…え?このみ?」

俺は恐る恐るテソンに聞いた。テソンご機嫌に「そだよ」と答えると返信し終わったのだろう携帯をテーブルの上に置いた。俺は気持ちを落ち着かせる為、テーブルに置いていたタバコを一本箱の中から取り出し指に挟むとお気に入りのゴールドのジッポで火をつけて思いっきり肺の奥まで煙を吸い込んだ。

「いつ、交換したんだよ」

口から煙を吐き出しながら尋ねるとテソンは「そんな怒らないでよ〜」と唇を尖らせながら答えた。

「ヒョンが寝ちゃった時だよ、韓国語教えてあげるって約束したから〜」

別に怒ってはいないけど知らなかった自分が何かちょっと嫌だった。
自分がこんなに嫉妬深いなんて俺自身も驚いてる。俺は「あっそ」と不機嫌に答えながら指に挟んだタバコの灰を親指の先で弾いて目の前にある灰皿の上に落とした。
そんな様子を見ていたテソンは俺に
「ヒョン、耳貸して」と言いながら手招きして俺の耳元に自分の右手を添えた。

「このみちゃん、ヒョンの為に韓国語覚えたいんだって、ヒョンがいつも日本語で話してくれるのが嬉しいから自分も韓国語が話せるようになったら、ヒョンもきっと喜んでくれるって言ってたよ」

そう言うとテソンは小さな目を見開いて「よかったね」と眉を上下に動かした。
俺はニヤける口元を隠すように右手で覆い反対の指の間でチリチリと燃えているタバコの火を灰皿に押し付けて消した。
俺は口元を覆ったままテソンから目を逸らし「うるせ」と呟くとテソンは俺を見てにこりと笑っていた。

「あ!」

俺は思い立ったように声を出してテソンの方へと向き直る。テソンはどうしたの?といった表情で俺を見た。俺は鼻の先に皺をよせて「変な言葉は教えるなよ!」と言うとそれで全て察したのかテソンはケラケラと笑い始めた。

「……っくく、ヒョン変態って言われたんだ」

俺は腕をぐっと組みテソンを睨んだ。

「……そうだよ。だから、やめろよな」

余程、俺がこのみから変態呼ばわりされたのが面白かったのか俺が睨みをきかせてもテソンはケタケタと笑っていた。
そんな楽しそうに笑うテソンにつられて俺まで笑ってしまった。

テソンの底抜けの明るさに俺は何度、救われるのだろう。そんな事を考えながら俺はテソンと一緒に笑い続けた。












if you 第13話                      fin.