この世の名残り、夜も名残り。
死にに行く身をたとふれば
あだしが原の道の霜。
一足づつに消えて行く
夢の夢こそあはれなれ。
女は目を閉ぢ悪びれず
「早う殺し 殺して」と、
覚悟の顔の美しさ。
南無阿弥陀仏を迎へにて、
哀れこの世の暇乞ひ。
長き夢路を曾根崎の森の、
雫と散りにけり。
曽根崎心中 天神森の段。
近松門左衛門
お初・徳兵衛の道行を思わせる紅の衣装に紫天神。
艷なる姿に春の香を添えて、夢之丞さんが舞うは「道行華」
観劇の友の皆さまに心よりの感謝を。
春はそこまで。
心も惑う木の芽どき。
どなたさまもおいといなさいますよう。
立命館大学アートリサーチセンター Art Wiki「曽根崎心中 」
横堀温泉 紫雲閣