耐震改修工事の優遇税制 | 東京 後楽園で開業する女性税理士 高橋千亜紀 身近な話題から税金についてわかりやすく説明します。

最近、ある程度の規模があるビルが

次々と大規模改修工事をしています。


私の知り合いのホテルも
昨年より、3棟ある建物を、少しずつ改修工事に
とりかかっています。

いっきにやった方が早いのですが

全館休業するわけにはいきませんから

お客様にできるだけ迷惑をかけないよう

防音し防振しながらの工事は大変そうです。


急ぎ着手した理由の一つは
「耐震改修促進法」により
旅館・病院・店舗といった不特定多数の人が
利用する建築物及び、学校・老人ホームといった
避難に配慮が必要な人が利用する建築物のうち
大規模なものについて
耐震診断を行い報告することが義務付けられ
結果は公表されることになりました。


ということは

耐震基準を充たしてなければ

いずれ営業してはいけなくなります。


この法律の影響で
該当する建築物は軒並み改修工事に着手しているわけです。


知り合いのホテル経営者は

これを機に、旧い建物を全面的にリニューアルする

良い機会になった

と前向きでした。


けれど資金繰りの目処がつかなければ

廃業もやむなし、という厳しい企業もあると思います。

淘汰されてゆくのでしょうね・・・


さて、この耐震改修工事

国が推し進める制度だけに
税制上では、かなり優遇されています。


以前にもあった優遇策ですが

平成26年度の税制改正にて

「既存建築物の耐震改修投資促進税制」

という措置法(時限立法、という意味です)

が創設されています。


耐震診断報告を平成27年3月31日までに行い
平成26年4月1日からその報告を行った日以後5年を経過
する日までに行った
耐震改修工事にかかった費用=建築物の取得価額
の25%を特別償却することができる
という内容です。


特別償却とは

法人税法上で定められている

減価償却費よりも償却限度額を大きく

することをいいます。

早期に損金算入額を増やすことができますね。



注意が必要なのは
措置法は時限立法なので
タイミングを逸しては優遇制度は利用できません。

投資判断を見誤らないことが大事です。