俺は某大都市にある高校に通っていた。
近くじゃ最底辺の高校だ。
帰り道にはイカツイ外車が泊まっていたり、893風の男がウロウロしていたこともあった。
そのブロックだけ時代が遅れているかのような感覚だ。
放課後は友人と街を散策するのが日課だった。代わり映えのない服屋を転々とし、店員とダベッたり、非合法の煙をたらふく吸いながら兎に角ウロウロしていた。
そんなある日、行きつけの服屋の兄ちゃんと地元の話になった。
俺が自身の地元を告げると、とある本屋の名前が兄ちゃんの口から出てきた。
気にはなっていたが、寄りはしなかった地元の古本屋だ。
行ってみるといい、の一言で俺はその気になった。
翌日、その古本屋に入ると店のBGMに驚かされた。ジャンルが全く分からないからだ。
それにこじんまりとした店内には怪し気な本とCD、洋服等が所狭しと並んでいる。
俺は当たりを見つけた、と直感で感じた。
昔から訳のわからない何かが好きだった。
未だにレコードやCD,VHSやDVDやブルーレイのジャケで惹かれるのは、チープで訳の分からないものだ。
だが、何故それが好きなのかは上手く説明できない。
俺はそこで面白い音楽のレーベルやアーティストを知った。
本屋なのに音楽がやたら特化していたから、そっちの影響がすごい。
もしあの時、訳分からないから帰ろーってなってたら、今の俺の音楽に対する考え方も随分変わっていただろう。
たまに3代目とかラッドを聴いて満足している人間を見て羨ましく思う時がある。
俺が生理的に無理なものを、神のように崇めている人間が疎ましく思う時があるんだ。
いいよなあ。隙間にいない人間は、ってね。
アナログなんて知らない俺の世代は益々こういった店を見逃したまま人生を終えるだろう。
何が幸せかは分からないね。
だけど、こんな人間になってしまったモンは、もうどうしようもないんだよね。
今はその本屋は潰れている。
事情はやんわりと人伝いに聞いた。
いつまでも残ってくれる訳ないんだよね。