私の修業時代 第30話 サテライトホテル後楽園
あらすじ
1987年昭和62年に高校を卒業した私は、横浜の調理師学校へ入学し、スペイン料理店でアルバイトをしながら少しずつ新生活になれて来た頃には就職活動。不採用になったりいろいろ経験し無事に就職先も決定したのでした。
そして入社式の日を迎え、
新入社員の面々と共に成長していくのでした。
ホテルの菓子部門に入社し、1ヶ月が過ぎた頃の話しへ
※登場人物は全て仮名です
仕事が終わってからのパイピングの練習も1ヶ月。
伊南さんと練習をしながら、情報通の伊南さんは、
『コックさんの◯◯さんとフロント係の◯◯さんは結婚するらしい…。』とか、
『◯◯さんはサンルートから来たらしいよ。』
『後楽園の◯◯さんと◯◯ちゃんは…』などなど、、
二十代の私達は仕事が終わると、文字書きやナッペの練習をしながら近況を話したりしていました。
たまに他の新入社員やコックさんも仲間に入りながら、練習をしたり雑談したり、ベーカーの横にある調理部のデスクで、お茶を飲みながら明日のスケジュールを話し合ったりするまでになっていました。
とにかくサテライトホテルは新人や社員をのびのび育てる環境でした。パワハラやら存在しない、そんなのんびりしたホテルでしたし時代でした。
『冨高君、坂下さんに電話した?』と伊南さん。伊南さんは二つか三つ年上なのでちょっとづつ姉御っぽくなってるような。
『うん、今度サテライトホテル後楽園に遊びに行くよ〜と話したよ。休みの人達皆んなで行く事になってたよねぇ。』
『そっちは日野山さんに話した?』と私。伊南さんはひとつ先輩の日野山さんがお気に入りでした。
どこの会社でもそうかも知れませんが、新入社員の頃は仕事も大事ですが、恋愛にも関心がある時期でした。昭和ならではかな、、。
新入社員研修の時から私が後楽園の坂下さんに好意を持っているのを知り、伊南さんが連絡先を教えてくれたのです。あの頃は新入社員同士集まると、調理師学校の時もそうですが、
『俺、◯◯さんがイイよ!』とか
『お前、誰が好きなんだよ、◯◯◯だろ?!』とか、すぐそんな話になっていましたが、今の若い人達もそうなんでしょうか。。
新入社員同士で話していて、好意を持っている人をカミングアウトするのがごくごく普通の事でしたね。
サテライトホテルでは恋愛にも大らかで、、職場結婚も多かったですね。数年後にですが田盛も宮脇君もサテライトホテルで職場結婚しましたから。
ホテル側も結婚を推奨するような雰囲気が有りました。早く結婚すれば職場にも腰を落ち着け、仕事にも精進すると言う考え方でしょうか。恋愛も仕事の内みたいな。
あの頃は婚活とかは無かったですよね。今は自治体や国が結婚をサポートする時代ですから羨ましいですね。
入社して1ヶ月余りの若葉の頃、
サテライトホテル後楽園へ新入社員の休みの人達で遊びに行く話が持ち上がりました。
後楽園と横浜のサテライトホテルは姉妹ホテル同士で伊東での新人研修で知り合い、新入社員達もお互い電話をするほど仲良くなっていました。
『じゃあ行ける奴らだけで後楽園へ行こう!』と、仕事が休みの新入社員で、横浜駅に集合する事になりました。
私は横浜駅にお土産の自分で焼いたマドレーヌを持って集合すると、『私達だけですね〜』と、新入社員のショップ店員の氷川さんが待っていました。
何と、
ふたりだけでサテライトホテル後楽園へ出かける事に!
『とにかく、行きましょっ!』と氷川さんに連れられ目的の電車に乗り込みました〜
めざすは東京の後楽園です!!