こんにちは、相続税専門の税理士法人チェスターの代表の荒巻です。
さて今日のテーマは「相続税と贈与税の一体化」についてです。
まだ改正は決定していませんが、数年内には実現される可能性がありそうですので、
ブログで簡潔に分かりやすく解説してみたいと思います。
<1分で分かる!相続税と贈与税の一体化>
政府の思惑は高齢世帯に眠る多額の金融資産等を早く若い世代に移転させて、消費に使ってもらって経済を活性化させたい!
↓
一方で富裕層が何の制限もなしに生前贈与ができてしまうと、相続税の回避になってしまい格差の助長を招いてしまう。
↓
それを補完するために贈与税の存在があるが、税率構造上、年間1000万円以内位の贈与であれば相続税よりも税率が低くなるケースもあり、相続税の節税を主目的として生前贈与が計画的に広く行われてしまい、贈与税が相続税を補完する役割を発揮できていない部分がある。
↓
反対に節税目的でない場合には、そこそこ多額の贈与を行うとなると、贈与税負担が大きくなってしまい、思い切った贈与がしづらい状況。教育資金贈与等の各種特例はあるにせよ。。
↓
そこで相続だろうと、贈与だろうと財産をもらうタイミングによってトータルの税金額に差が出ないように、過去に贈与でもらった分は相続時に持ち戻し計算を行い相続税でまとめて課税しよう、つまり相続税と贈与税の一体化だ!という流れが出てきた。アメリカやフランス等でもこの考え方が採用されていることもある。
考え方を簡単にまとめるとこのような感じでしょうか。
ということは、現在相続税対策として生前贈与している人には節税対策が封じられてしまうという大きな影響が発生することになります。反対に贈与税が気になって贈与がしづらいという方にとっては、税金のことをあまり気にせずに比較的大きな金額の資産を生前贈与することが容易になるというメリットが生じます。
現状ではこの改正によるメリット・デメリットは人によって違いがあるかと思いますが、贈与税の本来の創設趣旨に鑑みれば、この「相続税と贈与税の一体化」というのは自然な流れであるかと思います。
私は兼ねてより相続対策は節税対策を主眼とするのではなく、円滑・円満な財産の承継を念頭に対策を行うべきであると考えていますが、今後はこの改正が実現されればより一層そういった傾向が強くなるのではないかと考えています。
年度末の税制改正大綱含めて新しい情報が出ればまたお伝えしたいと思います。
税理士法人チェスター
荒巻