もうちょっと喜代美ちゃんの落語が観たかったけど、兄弟子が4人も控えていたんでした。
病室では、糸子さん、小次郎さん、菊江さん、磯七さん、咲さんが駆けつけています。草若師匠は、危篤のはずなのに、急にニコニコしながら、楽しい夢を見ているようです。魂が落語会に飛んでいって、弟子達の落語会を見守っているようです。
「やかましゅういうてやって参りました。その道中の陽気な事!」四草さんから始まった「地獄八景亡者戯」は、師匠との稽古のダメだしを思い出しながらの4人の熱演になりました。「もっとあほらしゅうできないか。」との言葉に、四草さんは道中の人たちのやり取りを工夫します。
「自分の中にないものは出せん。お前の明るい高座を楽しみにしてるお客さんがいるんや。」という言葉に、小草若さんはかつての明るさを取り戻し、落語は底抜けも復活して現代風なアレンジになってます。
草々さんはやっぱり正統派。「落語の事は心配してへん。それより若狭や。落語と同じように大切にしや。」
草原さんには、「おまえが一番弟子でいてくれたから、あのバラバラな弟子達をまとめることができて助けられた。後はお前に任せた。」 草原さんの演じた部分は、身振り手振りの大変な部分でしたね。やっぱり本職の人の迫力は違います。最後まで噛まずにできて、会心のできだったんじゃないでしょうか。
病室での師匠にはお別れの時間がせまっています。糸子さんは師匠の手を握りながら、「丁度5人いるんやから弟子達の代わりに見送ってあげるんや。」と、とっさにみんなに声をかけます。師匠の手を5人の手が包むようにして、見送られながら、師匠は死の旅へと出発したのでした。
寝床でひとり大忙しの熊五郎さんは、置いたばかりのとっくりとおちょこが、なぜかなくなっているのに首をかしげます。
最後の挨拶を前に楽屋で支度をする弟子達。「もたもたするな。いくで。」と、兄弟子4人はさっさと楽屋を出てしまい、ひとり取り残されてもたもたする喜代美ちゃんに、「あんた、ほんまにどんくさいなあ。」という師匠の聞きなれた声が背後から聞こえます。
羽織袴姿の師匠がちょこんと座って、お酒を飲んで笑っています。・・・あら、そこにあるのは寝床のとっくりとおちょこ・・・?
「あんた、はよいかな。」とせかされて、夢心地で行きかけて振り向くと、そこには誰もいません。師匠の羽織が壁にかかっていて、喜代美ちゃんの泣きべそ顔が鏡に映っているだけです。
病室では「今知らせたら舞台が・・・。」と迷う磯七さんたち。でも、なんとか舞台は無事終わって、「本日はお運びもまことにありがとうございました。」と横一列に並んで挨拶する5人の晴れ晴れとした笑顔にこちらもホッとしました。
場面は変わって、なぜか本物の地獄の入り口に師匠はいます。「地獄八景」の一行がにぎやかに通り過ぎると、師匠を呼ぶ正太郎さんの姿が現れます。「その節は喜代美が弟子にしてもろうて。」とお礼を言う正太郎さんへ、「あんたが仕組みはったんと違いますか。」と師匠。
ここは地獄かと聞くと、「すぐ横に天国の入り口があって自由に行き来できます。でも、まず地獄へ行かんと。」「なぜです。」「三代目草若が来るというので、今地獄は大騒ぎで師匠を待っています。志保さんも三味線かかえて待ってますよ。」
咲いているたんぽぽを一輪取って口にくわえ、扉をがらっと開けると、そこには演舞場があって、舞台の上には草若と書かれた字の横に座布団がちゃんと用意されています。
「その道中の陽気な事。」と言う声と共に、楽しげな草若師匠の顔を映してそれが最後のシーンとなりました。
師匠の死をテーマにした、この一週間の重苦しい気持ちの果てに、こんな楽しい黄泉の国のシーンがあるとは、粋な演出に心癒されました。朗々とオペラを歌い上げるBGMに乗って、スモークで煙る地獄の風景はちょっと物悲しくもあり、なつかしい様でもあり、師匠の花をくわえた様子は洋風で、和洋折衷だなあと不思議な感じも受けました。逢いたかった奥さんにも会えて、また好きなだけ落語ができるなんて、夢のようですね。
師匠には、いっぱい苦しい思いをした後だから、ゆっくり休んで楽しく過ごしてほしいです。そして、師匠の死を悼む人たちも、この地獄八景の楽しい様子を思い浮かべて、心慰めてほしいなあと思った事でした。
来週の予告では、草々さんの新しいお弟子さんがきたり、A子の意味ありげな「うそつき!」という台詞があったりと、また新たな物語の予感がします。
喜代美ちゃんがおかみさん~?と、ちょっと吹き出してしまいました。