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神奈川の沿岸地域と言えば…それこそ湘南地域一帯をはじめ、横浜や横須賀、三浦などなど…とかく観光名所の多い地域でもある。そしてソレラ一帯は海に面した地域でもあり、昔からリゾートとして賑わっていた場所。となると当然の如くそのネタの多さからか歌の世界でもモチーフとして頻繁に使われていたロケーションでもあるワケなのだ。例えば70&80年代のアイドルポップスやポップソングなどに目を向けてみると…

「ゆ・れ・て湘南」 石川秀美
「湘南海岸通り」 岡田奈々
「涙のドライブ」 相本久美子
「待ちくたびれてヨコハマ」 柏原芳恵
「横浜メルヘン」 伊藤つかさ
「YOKOHAMA25時」 大滝裕子
「湘南アフタヌーン」 南マリア
「湘南ハートブレイク」 荻野目洋子
「横須賀ストーリー」 山口百恵
「YOKOSUKA愛の色」 白石まるみ
「天気雨」 荒井由実
「鎌倉物語」 原由子
「江の島海岸」 桜たまこ

などなど…モチーフとしてはモチロンのこと、楽曲のタイトルとしてズバリと使用されていたものも多かったのである。今回レビュろうと思っている楽曲も上に挙げた曲群のお仲間さん…ということになるあの1曲。しかも本ブログ初登場!となるあのユニットが放った…と言っても、この娘達に関してはあまりご存知ないわ~ってな方のほうが多いのかと思われ^^;。

表題の「茅ヶ崎サンライズ」はラジオっ娘のシングル第2弾として、1982年8月に発売されたチューンである。

「ラジオっ娘???モー娘。やチェキっ娘は知ってるけど」

ここまで読んだ時点ですでにこんなご意見が頭をもたげはじめているのだろうか、おそらくは。それこそ…

「こんなユニットは知らない」

とばかりに…太陽の女王がお得意とされていた‘小首をかしげるポーズ’を取り始めてしまっている…なんている読者の方も多いのかしらん。なのでひとまずは彼女達についてちょっとばかり補則をいれてみることにした。

水島かおり・西端やよい・高橋めぐみによる日本の女性アイドルグループ。ニッポン放送のDJとして活動。出演番組は「電話好きっ娘 ラジオっ娘 ~男の子にはナイショなの~」などで、素人の女の子のエッチな赤裸々体験告白が番組のおもなモチーフだった。

こんなユニットだったのである。要は当時、テレビと並ぶ主要エンタメのひとつであったラジオから飛び出したアイドルユニット…ということになる。だから当初のユニット名も...

ラジオっ娘

改名にあたって考案されたソレも…

Lady oh!

(↑ラジオを意味する単語、Radioからのモジりなの…言うまでもなく^^;)
と…徹底的にラジオにこだわりまくったネーミングが宛がわれていたのである。

そんな彼女達が夏に放ったこの楽曲…作詞を手がけたのは宮下康仁氏、作曲は新田一郎氏といった面々。新田氏と言えば…

イメージ 2「イン・ザ・スペース」スペクトラム

上記のように「イン・ザ・スペース」という楽曲で1979年にデビューをカマしたスペクトラムのリーダー様。スペクトラムとは大人数からなるブラスを巧みに操るバンドで、メンバー全員が着飾ったギンギラギンのどハデなコスチュームが当時大いに話題を呼んだもの。サウンド的には前衛的で非常にかっちょいいソレを作り上げていたバンドでもあったのだ。そんな新田氏の楽曲を‘書き下ろし’という形ではなく‘カバー’として発売したのがこのラジオっ娘バージョンによる「茅ヶ崎サンライズ」だった…ということになるようである。新田氏のバージョンはシングルのB面として1982年7月5日発売…と若干早めだったことから、そういった解釈で良いのかと思われ。そしてこの時はなぜかこの楽曲の競作盤が市場に出回わり(←この曲自体がさほど話題になっていた記憶はあまりないのだが)…

イメージ 3「サンライズ・サンセット」新田一郎
(「愛のアイドル歌謡曲」のまりおん様よりご提供)

という、ご本人バージョンに加え…

「茅ヶ崎メモリー」 堀江美都子

コチラのバージョンになるとタイトルを微妙にお召し変え。作曲をされたご本人でもある新田氏のバージョンはモチロンのこと、それに絡むはアニソン界からの刺客、堀江のみっちゃんによるバージョンまでもがシングルとしてカマされるに至ったのである。ネットで調べてみたところ、どうやら元々は堀江さんのアルバム収録曲だったモノからの飛び火らしい。しかし、どういった経歴でこれほどまでの競作対決に至ったのかに関しては、ちとナゾでもある。ラジオっ娘の盤におけるレコジャケには「決定盤」なんて、かなり‘強気’な表記もあったりで。おそらくは楽曲の良さから…だったのかしらん。

♪海が見える 夜明け探して
 重い腰を あげた
 いつもいつも 愛を感じた
 波のように 寄せてはひき

曲全般的なイメージで言えば…シーサイドをモチーフにした曲だもの、シュワっと実にさわやか!それこそ遠いあの夏の日、空には夏雲がポッカリと…そして太陽の下で輝く海はどこまでも青く…

♪サンライズ 二人は 休むひまもないね
 サンセット 心はたそがれ

まさに‘あの夏’の情景をふと思い起こさせてくれるような、実に爽快なナツウタである。編曲を手がけたのはもちろん新田氏である。

筆者はこの曲を聴くと、湘南あたりの海岸線をドライブした時の情景が走馬灯のように流れてくるのでゴザイマス。湘南エリアは自宅から比較的近かったこともあり、20代の頃などはよくドライブをカマしたもの。それこそ…

♪夏かしいね 若いね
 青い夢を見つめて
 抱きしめてた二人は(サンライズ・サンセット)

歌詞は‘夏かしい’になってるけど…自分にとっては‘懐かしい’思い出なんじゃい。まさに青春…こんな歌詞のとおりでゴザイマシタ。(笑)

大磯や茅ヶ崎あたりの海沿いを走る国道134号線、それを飛ばした先にある江ノ島、稲村ケ崎、逗子、葉山などなど…コレラはあの頃におけるデートの超定番スポット…でゴザイマシタよね(←今でも?)。沿道には洋館などを利用したおシャレなレストランやカフェなどが建ち並び、まさに歌の中に出てくるような「海辺のレストラン」状態。ソレラは嫌が王にも二人の距離をググンと縮めたものでゴザイマス。(笑)

♪茅ヶ崎から潮風 湘南さえ追い越し
 黙ったまま 飛ばした(サンライズ・サンセット)

コレを唄ったラジオっ娘のお三方。出で立ちはアイドルユニットにありがちな白を貴重としたミニのワンピースを着飾り、元気いっぱいだけが取り得(!?)といったようなパフォーマンスをご披露してくれていたもの。歌の終わりにはなんやらよく聞き取れない‘雄叫び’などもカマし、エンディングには…

イェ~イ

と元気いっぱいに。あらまぁ、高島忠夫さんじゃあるまいし。(笑)
それこそ現在のお三方がこのチューンを耳にしたら…

♪夏かしいね 若いね

なんて、ちょいとハズかしいおキモチになることが予測されるのでありまする。

で、肝心の歌の方はというと…素人っぽさ(←ってかラジオ番組の人気に便乗してのデビューだったからねぇ、素人同然なのはいた仕方がないのか)を前面に出しまくったようなソレ。それにしても娘が3人も揃ってるのに、歌の最初から最後まで大胆にもユニゾン一辺倒で通してくるんだもの!このユニットに関しては歌唱力ウンヌン…というよりも、元気いっぱいなのがとりえよん!といった趣が「DEEP」のようでゴザイマス。

しかしながら楽曲のクオリティ…コレとソレとは全くのベツモノでありまして。さすがは新田ヨロシク一郎センセイがお作りになられた楽曲だもの…出来はすこぶる良いのでゴザイマス。このテのナツウタポップスには定番の、さわやか男声コーラスもシカリと挿入され、嫌が王にも‘夏’の雰囲気をグイグイと盛り上げてゆくのでゴザイマス。

まぁ、後を継ぐ気はさらさらなかったのだろうけれども…女の子3人組ユニットにおける頂点、キャンディーズのクオリティと比べたら、ソレはかなり未熟なもので。学芸会の域は脱してないようにも聴こえたりで。でも80年代後半に巻き起こったあの‘素人女の子軍団’による夜明け…

茅ヶ崎サンライズ?

いえいえ…そうじゃなくって。ソレを考えるとこのテのタイプの登場はもうちょっと後の方がベターだったような?そんな気がしてきたりもするのでありまする。しかもレコード会社だってキャニオンちゃん…そう考えるとアレのプロトタイプだったのか?

ラジオっ娘はこの曲を放った後、ユニット名をLady Oh!へと変更。「あいつBye Bye」という、それこそ先輩格だったキャンディーズを意識しまくったような出来良しのアイポをカマしたものの、センターにいた水島かおりさんのご病気により、あっけなく空中分解しちゃったのでありまする。それこそ…

「やったねMARIKO!」

もとい…

「やってくれたわねKAORI!」

これからという時期に~もう!他メンツ様のおキモチもコレと同じだったのか、ナゾ。(笑)

☆作品データ
作詞:宮下康仁 作曲:新田一郎(1982年度作品・キャニオン)