「行ってみたい! と思わせる「集客まちづくり」の技術」(大下茂 学陽書房)を読んで
とても勉強になりました!
今度ある全国型宿泊研修で、著者の帝京大学教授の大下茂先生の翌日を受け持つことになったこともあり、本棚に入れておいた著書を改めて拝見しましたが、いやいや、これは大切なことがちゃんとおさえられてすばらしく勉強になる一冊だなと。
例えば「地域素材から集客商品を作り出す4つの手法」などは、統計処理の数量化Ⅲ類」という技術を使って導き出したのが、①トレンディ型加工法 ②合わせ技一本技型加工法 ③アドバルーン型加工法 ④地域資産保安型加工法の4つで、それぞれの特徴、強味や用いられ方の傾向、注意すべきポイントまで書かれていますから、すごい!現代の観光まちづくりの戦略、戦術、現場実践、組織作りなどそれぞれの局面でありそうなことが強弱つけたうえで、網羅されています。そして当然ながら「その通り!」とか「こういう視点やワードで伝えると同じ事でもわかりやすく伝わるな」的な気づきばかりでした。こういう名著の内容をいかに現実に受講生たちが実現できるか、にかか っています☆彡
村上春樹『パン屋再襲撃』を再読してわかったこと
先日フィリピンの女性チューターで村上春樹のファンの方と会話をしたところ・・。
彼女が愛している村上作品が「海辺のカフカ」「1Q84」「ノルウェーの森」など、長編が多く、私としては難解なものばかりだったので、つい
「1973年のピンボール」や「風の歌を聴け」など初期のもいいよ」とお薦めしてしまいました。
あとで知ったら、この2作などは、英訳があまり海外に出回っていなく。買おうと思えばアマゾンなどで買えるのでしょうが・・・。
村上春樹はフィリピンでも相当な人気らしく。
そんな中で、彼女が「いい」と言ってたのに「おや?」と思ったのが、
『パン屋再襲撃』でした。
たしか、この作品は読みやすい短編で、短編ならではの彼のエスプリがほとばしっていた作品だったと思いますが、今回は、「村上春樹作品はなぜフィリピンでも人気があるのか?フィリピン人は作品のどこにシビレているのか」を想像しながら読んでみました。
以下、その結果、私が感じたことです。
❶物語として「突飛」。うそのような本当な、でも嘘~。
一番嘘っぽいなと感じたのは、彼女が銃を持っていたこと。
こういう不思議な展開が彼の作品には実は多く見えて、それを良しとするか、気になるか、で作品の評価は変わりますね。なぜ私が「うそ」と思ってしまったかは、「ありえないこと(パン屋を襲おうとした過去のエピソード)」の上にさらに「ありえないこと(新たな相棒が銃を隠し持っていたこと」が重なってしまっていたから。珍事は普通、重ねてこないから。
❷結婚してから2週間、がキーワード
昔読んだ時はあまり感じませんでしたが、この物語は、よく理解していたはずの彼女と結婚してわずか2週間で、意外なことがたくさん見えてきた、という主人公のその新鮮な驚きが底流にあるのだなという点。
ははぁ、彼の作品が世界的に好まれるのは、ここだな、と直観しました。
❸「発見」ではなく「再発見」
そう、「知っていること」でも「知らなこと」でもなく
「知っていると思ってたけど知らなかったこと」こそがドラマチックなのだと。
村上春樹さん(ここではじめて「さん」づけ笑)はそこを抉っているんだなと思いました。
ここは、人間存在の「不思議さ」「不完全さ」と、それに気づいてしまった時の向き合い方、あしらい方、やり過ごし方などなど、その向き合い方が魅力的なんだろうなと。
結局、発見にせよ、再発見にせよ、そこから「関係性」が新たに生じるわけで、彼の作品は、この「関係」の処理の仕方が面白いのだなと、あらためてつくづく。
ヒュー・ホワイトモア作戯曲『ブレイキング・ザ・コード』(「悲劇喜劇」2023年5月号)を読んで
1920年~1960年くらいのイギリス(マンチェスターやロンドンなど)を舞台にした一人の天才的な数学論理学者の不器用な日常生活とリーダー的立場で行なっている国家プロジェクト、そして、唐突の犯罪と余罪の表出などが描かれた作品。
チューリングという40代くらいの男が主人公だったが、読んだ後に、もしやと思い険悪したら、やはり実在した人物で、暗号解読でドイツからの攻撃によるイギリスの危機を事前に防いだ英雄的存在。さらに、AIの可能性を信じていた稀代の天才なのだと知りました。
こんなすごい研究者だが、当時同性愛を禁止していた英国にいたため、同性愛者であることが禍となり、どうやら不幸な晩年を送ったようで、最後は青酸カリで謎の死を遂げてしまうのでした。
生成型AIの出現により、現在再評価されている話題の人物だということ、まったく知りませんでした。
戯曲としては、構成も長さも場面展開などの設定も面 白かったので、実際の上演も見ごたえがあるかなと思います。
また、セリフもいきいきとしているため、ちょっと難しく動きがない話ではありますが、劇場では楽しめる作品になっていると感じました。
それにしても悲劇ですね。
同性愛はわずか70年前までは犯罪とみなされていたとは知りません。
隔世の感がありました。