石田衣良『シューカツ!』を読んで
大学時代の一大イベント「就職活動」。
「全員合格」を合言葉に助け合い「合格」のその日に向けて走る、同じ大学のマスコミを目指す7人の学生の1年を描いた作品。
今から36年前の当時の心境にオーバーラップし、局面局面で落涙しました。
モデルとなったのが私の出身大学でしかも学部も同じ。志望業界も同じマスコミということで、いやがおうにも自分のその時の心境を思い出さずにはいられません。
OG訪問や面接でどんどん主人公千晴の「働くということ」についての考えが深くなるに従い読んでるこちら側も成長したいくような印象を覚えます。
そして、千晴が出した結論とは、「目の前のことを自分らしく一生懸命やるだけ」ということだったのかと思います。
この結論は老若男女問わずひとつの「教え」になると思います。
目の前のことを自分らしく一生懸命やることで、道を開いていきたいですね☆彡
「シソンヌじろうの自分探し」を読んで
地元新聞「東奥日報」に月一回連載されているシソンヌじろうさんのエッセイがまとめられて出版されたもの。
じろうさんが18歳まで住んでいた弘前での暮らしぶり、幼少の頃のじろう少年がどういう子だったかがとてもよくわかる本でした。
ちょっと驚いたのはじろうさんの記憶力の確かさです。30年ほど前のことをよく細かく鮮明に覚えているな、という箇所があちこちに出ています。それらがすべて「はじめて〇〇したのは」という形での取り上げられ方が多いので、じろうさんにとっても大切な機会だったことに違いありません。
こういう自分の過去をきちんと覚えている人はなにかと強いなと思いました。
また、
著者本人はまったくそんなつもりはないのでしょうが、弘前という本州の辺境の雪深い小さな城下町で育まれた人間性、社会性などが貴重であることが感じられ、今のネット万能IT時代への警鐘になっているような気がしました。
親戚の、近所のおばちゃんたちに可愛がられて育ったことや、身体が弱い末っ子だったからなおのこと母に可愛がられた様子など、が特に印象的でした。
個人的には、弘前に行きたくなりました。
4月末から5月中旬くらいを狙って行って、じろうさんの聖地巡礼をしたら楽しいなと思いました。
「「地元」の文化力」(苅谷剛彦 編)河出ブックス を読んで
最近、良書との出会いが多く。またまた面白い本を読みました。
全8章でそれぞれ筆者が違うオムニバス形式ですが、岩手の遠野や、長野の飯田など地元で30年以上続いている文化的活動の現地調査などを経て、その共通点などを割り出している前半分の章もレポートも見事。さらに最後の二つの章が秀逸でした。
「第七章 全国調査データでみる地域文化活動の「平均像」」は、丁寧なアンケート結果をもとに、タイプを3タイプにわけて、それぞれの出現率はもちろん、「地域文化活動の担い手となった時」の傾向の分析が深く鋭く、極めて面白い。
最終章は編者の苅谷さんがまとめて書いているのですが、これまたすごく。「第八章 参加のパラドクスと地域社会のゆくえ」は、新しい気づきを提供してくれている良質な内容だなと思いました。引用紹介したい観点は沢山あるのですが、たとえば、インバウンドに人気を博する「Yukigassen」も、単なる雪玉の投げ合いを「合戦」としているところが戦国の世から続く私達日本人のDNAがなせる表現なのだと。人類に共通の欲求×日本が長い歴史の中で醸成してきた文化 の掛け合わせなのだと。まさに「慧眼」とはこのことを言うのかと。来季からの講義内容を充実させたいと思います!