罪にはならない罪を、いくつも重ねた。
誰もが知っていて、誰も知らないことになっている。
わたしの手は汚れている。
大義名分という言葉を笠に着て、意思を持たずに生きてきた。
生きてきたと言うのもおこがましい。
あの時間、わたしは生きていたとは言い難い。
命令に従う為に動くだけの、肉の塊だったに過ぎない。
静かで無感動な心から、もう一度生まれ直したのは偶然じゃないことを知っている。
胸が騒ぐのも、震えるのも、涙が零れるのも、生きることを受け容れたから。
取り返しのつかない罪の意識に、恐怖という言葉を知ったから。
わたしは今、生きている。
自分の意思で、生きている。
罪を償わなければいけないことを、誰よりも自分が知っている。
誰も責めないなら、自分で責め続けるしか無い。
そうすることでしか、わたしの罪が赦される日は来ない。
わたしが、わたしとして生きる為に選んだ道。
誰が赦しの言葉を伝えたとしても、わたしが自分を赦すその時まで終わることは無い。
闘うことには慣れている。
責められることには慣れている。
限りある命の尽きる前に、自分を赦す時が来ることを願いながら。
今はまだ、果てしなく深い罪の意識に飲まれて足掻きつづけている。