子供を学習塾にやる。これは子供を人質に取られたようなものである。
新しいコミュニティーで新しい先生に出会い刺激を受けたのか、最初はまずまずの成績がとれたが、そのうち頭打ちに。先生の勧めるままに、夏期講習、冬期講習と受けさせてみたものの、大きな変化はなく、そのまま卒業。
残念ながら、90%くらいの子供はこのようにして中学高校生活を終える。
理由は簡単。塾講師は、教えるのは上手いが、どういう勉強法なら成績が上がるかというノウハウを持ち合わせていないからである。
こう書くと意外に思うかもしれない。
①そもそも学問に王道はないのでは?
②それに、学習法のアドバイスもよくしてくれるけれど。
答え。①学問に王道はなくても、受験勉強に王道はある。
②塾講師は、担当する科目に限り、効果的な学習法を教えてくれる。しかし、学校、部活と子供は忙しい。ほかの習い事もあるかもしれない。担当する科目のみならず、受験科目全部に目を配りながら、限られた時間内でいかに効果的に学習するかというトータルソリューションは持ち合わせていない。縦割りで、自分の科目で成績が上がればよしとしているので、個人の生活実態に合わせた科目横断的な対策は生徒個人の工夫にかかっている。せいぜい、「英語はよくやったな。数学ができてないから、がんばれよ」程度なもんである。誰が見ても分かっとりますわ。
おとーちゃんは留学後、お金に困ってしばらく故郷で塾講師の職について糊口をしのいだ。勤めた塾は、子供のことを徹底的に面倒見る経営方針が受けて生徒数を急速に伸ばし、少子化の時代に自社ビルまで建てた。それは結構なのだが、勤めてみてまず驚いたのが、教材の多さ。担当した英語だけで1年間に4冊もあった。それに夏期講習と冬期講習にはまた別のテキスト。さらにお盆特訓、正月特訓と称して、また別の問題集を配っていた。講習に皆勤すると、1学年の英語だけでテキストは6~8冊にもなる。すみずみまできちんと解くならそれもまだいい。1年たってどれもせいぜい半分しか埋めていなかった。
ここまで多くはないにせよ、どの塾もオリジナルテキストや問題集を用意していることだろう。するとどうなるか。子供はまず学校で教科書を読み、ノートをとる。問題集を解く。塾に行って、また同じ内容の授業を受け、ノートをとる。問題集を解く。少なくとも1科目に6冊の教科書ノート問題集を使うことになる。2度手間だし、テストの時に、子供は何を見て試験勉強すればよいのか。
短い時間で効果的に勉強するならば、やるべきことは全く逆。テキスト、ノート、参考資料をそれぞれ1冊に絞る。あえて言えば、ほぼノートだけに絞る。これさえ目を通せば準備は終わり、という状態にしなければ、労多くして益は殆どないと断言できる。
職員会議でそう言ったら、新人のくせに何を言うかと猛烈な反発を受けた。そのまま職場で浮いてしまった。
それはおいといて、学校の先生と違い、塾講師は営業マンでもある点は注意しておかなくてはならない。通常授業の生徒数もさることながら、夏期講習、冬期講習も塾にとって大きな収入源。講習にいかに生徒を誘導するかが大きなカギになる。賞与の額と連動しているところもあると聞いた。
そこで、成績が芳しくない生徒には、「なんとか這い上がるためにも講習受けた方がいいぞ」と声をかけ、登り調子の子には、「ここで一気に差をつけよう」と勧める。成績のいい子は、ほかの子への影響力が大きいので、とりわけ標的になる。「おまえな、油断してたらそのうちじり貧になるぞ。今のところ成績はいいが、何人もこういうパターンを見て来たんや」と脅しまがいの営業トーク。すぐに色よい返事が返ってこないと、職員室にまで呼び出し、滔々と講習を受けるメリットを話して聞かせる。しぶしぶでも「講習受けます」と言わせればこっちのもの。子供がやりたいというと親は弱い。家計が苦しくても、やりくりして講習費を捻出してくれる。あとの子は簡単。「おまえな、あいつですら受講してもっと頑張るってゆうとるんやぞ。お前はそれ以上がんばらなあかんのちゃうんか」といわれれば、横綱と序の口の相撲。おとーちゃんは、こういう悪事に手を染めた。生徒たちよ、ゴメンナサイ。
だから子供を人質に取られたようなもの、なのである。計算してみたら、2科目受講して、夏期・冬期講習、お盆・正月・入試直前特訓全部受講したら年間30万円近くになった。5科目になると、もっとかかる。私立学校並みの重い受講料負担。
で、その効果のほどは、というと、さほどでもない。塾に入ってきた当初の順位が大きく入れ替わることなく、トップの子は2位以下にさらに水をあけるわけでもない。高校入試は浪人できないから、堅めの選択をする。だから志望校のランクを下げるほうがよほど多い。2年間で短期講習を合わせるとだいたい150名くらいを見たが、著しく伸びた子は片手の指にも満たない。短期的な上がり下がりはあっても、成績の底上げにほとんどつながらない。おとーちゃんも塾に通ったが、自分も仲間も、入塾したときそのままの順位で進学先が決まっていった。成績を下げない効果はあるかもしれないが、コスパとしてはなはだ疑問である。
では、塾に行かせる必要は全くないのか。
人によっては、価値はある。
長くなったので、続く。
メロンの町なので、農家から頂きました。メッシュの入りがよくない規格外品。もちろん味に変わりはなく、うまーい!!
これが売り物にならないんだから、経済原理というのはホントにわからん。























