フラワーエッセンスおとぎ話。「消防車に乗るのが夢だった」 | フラワーエッセンスナビゲーター☆☆チョンボン

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フラワーエッセンスおとぎ話

 

                       *フィクションです

                       *写真はイメージです

 

 

 

栗毛の小さなショーンは

消防自動車が大好きだった。

 

父親が消防隊員だったから

かもしれない。

 

母親がほとほと困るくらい

 

父親のいる消防署で

何時間も消防車を眺めては

家で絵を描いていた。

 

 

「ぼくもお父さんみたいになる!」

 

ほんの小さなころから

消防車に乗るのが夢だった。

 

決意はずっと揺るがず

 

そのゴールを目指して

着々と必要な準備をこなし

試験にも一発合格。

早々に夢をかなえた。

 

Jesse Spencer/Chicago Fire

 

 

ところが、彼は

本番となると

消防の仕事がうまくできなかった。

シュミレーションは完璧なのに、

なぜかうまくいかない。

 

同僚のジャックは彼に言った。

「頭で考えてたら動けないぜ。」

 

Chicago Fire

 

 

ジャックは

ミスタ―ファイアーのカレンダーに

毎年選出されるイケてる隊員で、

しかも

無駄のない的確な動きは

ショーンには憧れを通り越して

もう神の領域だった。

 

どんなに筋トレを頑張っても

ジャックのようにはなれなかったし

そもそも

ジャックのような野性的勘も

持ち合わせていなかった。

 

ある日とうとう

ショーンはとんでもない

ケアレスミスを起こし

仲間の命を危険にさらしてしまった。

 

 

 

 

Chicago Fire

 

消防署のボス

ホセは父親の同僚だった人で

 

真面目で頑張り屋のショーンを

励まし引き立ててくれていたが、

 

そんなホセですら

やはりショーンに消防士は

無理かもしれないと

思い始めていた。

 

周りから

ショーンを事務方に回してくれ、と

冗談めかした要望もでていた。

 

ショーンと一度ゆっくり話し合おう

とホセは宿舎に向かった。

 

 

ショーンの部屋には隊員たちが

集まっていた。

 

背中を見せて

椅子に座ったショーンを

輪になって囲んでいる。

 

元々

ガタイがいいほうではないのに

さらに肩を落として

うつむいているショーンは

まるで巨人に囲まれた

小人のようだった。

 

「ショーン、話があるんだが」

 

振り返ってホセを見ると

ショーンは

「わかってます。」

と寂しく笑って

そう一言つぶやいた。

 

するとホセに気づいたジャックが

「ボス、すごいっすよ。」

と大声をあげた。

 

「なんにも見ないで

こんなに描けるなんて、

どうなってんだ。」

 

ホセがのぞき込むと

ノートに書かれた消防車が見えた。

細部に至るまで完璧に再現された

見事な消防車の絵だった。

 

 

 

 

 

 

「けど、けっこう古い型式だな。」

誰かがそう言うのに答えて

「ああ、これは20年ほど前のやつだ」

とホセが言った。

 

「当時はこれが最新式だった。

俺と俺の一番の親友が乗っていたやつだ。

そうだな、ショーン」

「はい、そうです。」

 

 

2000年の夏

これが納入されてすぐ

これに乗って出動した夜を

今でもはっきり覚えている。

 

何もかもまっさらな最新式で

いつにも増して

気持ちが高ぶっていた。

 

俺が飛ばした

上品とは言えないジョークを

あいつは

「ショーンの前では言うなよ」

と笑った。

「お前は父親の俺を差し置いて

ショーンの

ヒーローなんだからな。」

 

 

 

 

 

そして

あの日もこれに乗って

俺たちは出動した。

 

 

 

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ホセはしばらく

その懐かしい姿を見下ろし

 

「そうか、

これを繰り返し描いているうちに

空で描けるようになったんだな。」

とつぶやいた。

 

「そういうわけでは。」

ショーンは少しばかり気まずそうに答えた。

「私は一度見たものなら大抵描けます。」

 

おぅ、と周りに歓声があがった。

 

「一度見たもの、って

一回見ただけで

なんでも描けるってか?」

 

「いや、なんでもってわけでは。

 

消防車だけだよ。」

 

 

 

 

 

ショーンの夢は

父親のように

消防自動車に乗ることだった。

 

そして

 

 

Flickr

                   

 

 

Jesse Spencer