後編〉手紙講座〜②執筆・呈茶・文香作り | 【ブログ】裏千家 シュミネ茶道教室 || 大阪・心斎橋 || 西田宗佳

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大阪・心斎橋駅上がってスグの「シュミネ茶道教室」。
お稽古や教室の様子、茶の湯周りのことや、西田宗佳の歳時記・日常なども、生徒の皆さんに読んでもらえるよう徒然書いています。

令和3年(2021年)9月21日:投稿
 
皆さん、こんにちは!
シュミネ茶道教室の西田宗佳です。
 
前回の
…に続き、
 
こちらは
後編〉手紙講座〜 ②執筆・呈茶・文香作り」 
…をお届けします。
 
 
黙って手紙を書いてみる
 
お話や文具紹介のあとは、実際に筆を取ってみましょう、ということで、用意したサンプル文を参考に各自で「手紙を書く時間」に向き合っていただきました。
日常的に手紙を書くことのないデジタル社会の人間が、思い思いにサラサラと筆を走らせることは難しいようで、全員サンプル文を丸写しするので精一杯です。
 
 
でも最初はそれでいいと思います。
 
 
まるで写経に勤しんでおられるかのようですが、
 
 
皆さん一生懸命、黙々と手紙を書いておられます。
 
 
携帯のクリックでも、パソコンのキーボードでもなく、紙とペンを使って、個性ある自分の字で、手紙という作品作りです。
 
 
 
 
呈茶と文香作り
 
手紙を書いた後は、お茶と工作体験の時間を設けました。
二班に分かれて、お茶席での粗茶一服と、他方ではテーブルにて文香作りを体験です。
 
 
下↓) お菓子は仙太郎の「月見団子」。
Tさんから京都土産で金谷正廣の「真盛豆」も頂いたので一緒にお出しさせていただきました。
 
 
下↓) 火曜日のU田さんが準備してくれた「文香作り」。お香の種を折り紙で包み、手紙と一緒に忍ばせ、相手が開封したときに香りの演出をするためのものです。
こちらのお香も「鳩居堂」さんのものを使いました。
 
 
 
 
手紙を書いたり、お茶席入ったり、文香作ったりと、この日は盛り沢山でした。
 
 
下↓) 大学生のU田さんが、大人に折り紙を教えています。
 
 
 
 
 
~~~~~~~~~~~~~~~~
 
さて、今回の「手紙講座」、皆さんいかがだったでしょうか?
普段のお稽古とは全く違う取り組みで、同じ教室なのに、なんだか新鮮でしたね。
 
参考資料として淡交社さんの「なごみ 6月号 茶人が手紙を書くとき」を使わさせていただき、あらためて勉強になることがたくさんありました。
 
 
その中の言葉で、
「手紙は信頼関係の扉」
というフレーズがありましたが、私はとても心に響いています。
古くから時代や国が違っても、手紙は何千年もの間、いつもその大切な役割をきっちり果たしてきました。
デジタル社会・スピード社会が生み出す「簡単・便利・早い」が当たり前のようになった世の中において、手間も時間もかかる面倒な「手紙」は廃れていくのでしょうか?
私はそうは思いません。
手紙は淘汰される古典的な存在ではなく、今もなお(今だからこそ)強力なコミュニケーションツールであることは、文化人なら誰もが皆知っているはず。
その価値に目を向けようとなさらないのは、とてももったいないことです。
心の込もった素敵な手紙は何年経っても色褪せません。いずれそれは、人とのお付き合いの中で形として残り、在りし日の思い出として宝物になります。LINEやメールのように、流れて埋もれてデジタル的に消えていくものではなく、静かに自宅の箪笥や引き出しの奥にひっそりと保管され、忘れた頃にふとまた未来の自分がみつけたりして、ちょっとしたタイムカプセルでもあります。
今回の手紙講座の準備に際し、私も久しぶりに昔の手紙を保管している引き出しを開け、懐かしい手紙たちと再会し、いろんな人々の面影を走馬灯のように感じながら、お一人お一人の手紙の温もりを確かめる機会となりました。
 
一通の手紙が互いの関係を作り、相手がこの世を去った後もなお存在感を持ち続け、昔の茶人はその手紙本体を軸にして床に荘りました。それを「消息」(しょうそく)と言います。
 
皆さんも、人生の節目や誰かを想うとき、または礼節を形になさる必要のあるとき、まずは文箱を開けて便箋を取り出し、筆を取ってみてください。何でも慣れれば身近に感じるはず。
 
今回の手紙講座が、何かしら茶の湯者として進むための文化的なきっかけになりましたら幸いです。
 
 
 

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