1)名水の稽古茶会〜その① 亭主の心入れ(名水点について・茶会の床・御香水) | 【ブログ】裏千家 シュミネ茶道教室 || 大阪・心斎橋 || 西田宗佳

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大阪・心斎橋駅上がってスグの「シュミネ茶道教室」。
お稽古や教室の様子、茶の湯周りのことや、西田宗佳の歳時記・日常なども、生徒の皆さんに読んでもらえるよう徒然書いています。

令和3年(2021年)8月22日:投稿
 
皆さん、こんにちは!
シュミネ茶道教室の西田宗佳です。
 
8/21(土)、午後の短時間ではありましたが、「名水点て」による稽古茶会を催しました。
ご参加いただいた社中の皆様、暑い中マスクをしながらでも、浴衣や着物をお召しいただいてお運びくださり、ありがとうございました。
 
茶会・茶事では、亭主の心入れを存分に汲み取って、客として十分に理解し味わうことが大切です。
茶会が初めてという新しい方も多くいらっしゃり、その場の事だけだと何が何だかさっぱり分からんという方もあるかもしれませんので、今回は、名水茶会にご参加いただいた皆様のために、稽古茶会で目にしてもらった物、味わっていただいた物について、今一度添ったお話をここで掘り下げ、「亭主の心入れを知る」、「経験したことの見識を深める」 ということに注目して、もう一度振り返って学んで頂ければと思います。
 
長くなりそうなので、3回に分けて投稿します。よろしくお付き合いください。
 
まず初回は、
☆「名水の稽古茶会〜その① 亭主の心入れ(名水点について・茶会の床・御香水)」です。
 
 
名水点て
 
木地の釣瓶水指に注連縄を張り、この中の水が「名水」であることを示しています。
 
 
(下↓) 拝借した参考文
藤井宗悦先生著: 「実用茶事・応用編 3 名水のもてなし」の本から抜粋させていただきました。
 
日本には名水と呼ばれる湧水や井戸水が多くあります。
茶の湯の世界でも古くから点茶に適した水を名水と尊び、京都では醒ケ井、宇治橋の三の間などが知られています。
水は寅の刻(朝一番)の井華水(せいかすい)を汲み上げるのが最良で、朝四時ごろに汲むのが理想です。水は陰陽五行説で陰の気ですが、一日の中で寅の刻は陽の気が蘇る時間とされ、陽の気で邪気や穢れが祓われ、清らかな水に蘇るとされています。
客は中立後、後座に席入りして初めて名水であることを知ります。心得としては、濃茶を頂く前に水や白湯を所望して亭主の心入れを頂きます。
注連縄は、外と神聖な空間との区別をするための、いわゆる結界の役割をします。神社のまわりやご神体・ご神木などを縄で囲み、その中を神域としている場合もあります。
 
 
床の設え
 
軸は画賛で、「清涼・鵜飼いの図
前大徳寺の足立泰道和尚の賛です。
花入はそれに合わせて「鵜籠(うかご)」。
 
 
 
花は、茶会当日の朝に私の自宅のベランダから摘み取ってきた、女郎花(オミナエシ)、唐糸草(カライトソウ)、白花桜蓼(サクラタデ)、デュランタです。
デュランタは茶花ではありませんが、連れてきました。明治時代中期に日本へ渡来し、今では夏の鉢物として流通の多い植物で、紫のこの花は「宝塚」という品種の名が付いています。デュランタという名前は、16世紀の植物学者である「デュランテス」の名にちなんでいて、彼はローマ法王の侍医でもありました。
 
 
 
名水 ~ 伏見の御香水
 
この日の主役、名水。
今回は、亭主N尾さんが茶会当日の朝から京都・伏見まで足を延ばしてくださり、この日のお客様のために「御香宮神社」に湧き出る「御香水」を汲んできてくれました。
 
 
御香宮神社
「ごこうのみや」とも、「ごこうぐう」とも呼びます。
(下↓)神社のホームページから参考文抜粋
 
約1150年前の平安時代(862年)9月9日に、この境内から「香」の良い水が涌き出たので、 清和天皇よりその奇端によって、「御香宮」の名を賜った。社の名の由来となった清泉「石井の御香水」として、伏見の七名水の一つで、徳川頼宣、頼房、義直の各公は、 この水を産湯として使われた。明治以降、涸れていたのを昭和57年復元 、昭和60年1月、環境庁(現、環境省)より京の名水の代表として「名水百選」に認定された。
 
(上↑) 画像はネットから拝借
 
こちらの水は、環境省選定の「名水百選」に「伏見の御香水」として登録されています。
昭和60年に設立された「御香水保存会」により、月釜や献茶式なども開催され、名水の保全及び普及のための活動がなされています。
 
因みに、環境省が大阪から選定した名水は、「水無瀬神宮」の「離宮の水」です。
 
(↓) 下の写真3枚は、茶会当日、亭主のN尾さんが現地で撮ってきてくれた「証拠写真」(笑)です。
 
 
 
 
茶会当日、ここで朝汲んだ生水は、京都・伏見から、大阪・心斎橋の地まで旅をしてもらい、茶席で皆さんにそのまま飲んでいただきましたが、いかがでしたか?
蛇口を捻れば当たり前のようにいつでも安全な水が出てくる現代にあって、由緒のある名水を求めて遠方までご足労くださる亭主の席にお呼ばれするということは、なかなかに贅沢なこと。そのお心入れやご苦労を何よりのご馳走と感じ感謝する、客としての素養もまた稽古を通じて培っていただければと思います。
 
 
次回は第二弾、
 
・・・に続きます。
 
 
 

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