・・・分からない。



この人が何を考えているのか。



「愛ちゃん、着いたよ。」



目の前に広がるのは、声にならない程の夜景だった。



「わぁ・・・すごい。」



「でしょ。俺のとっておきの場所。」



「こんな町にこんなところがあったなんて。」



「意外だったでしょ。

ま、もう寒いから外には出られないけど。」



「ううん、ここで大丈夫。」



しばらく、私は言葉を失い、見下ろす夜景に見とれていた。



空には満点の星空、見下ろせば町並みが作る、星空。



「正人、私ね。」



「ん?何?」



「私は結婚していて、加奈と真奈が世界一、大事なの。」



「うん。

どうしたの、急に。」



「これから先もずっとずっと、私はあの二人が、

世界一大事で、変わらないの。」



「・・・。」



今度は正人から言葉が出なかった。



「私はこの先、正人と何かなるっていう事は、

絶対に無いんだよ。」




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「んー、愛ちゃんの為になりたいから。」



「は?」



「いや、友達として、ね。」



「・・・そうやって何人の女を騙して・・・」



「してないしてない。」



「じゃ、何でーそんな彼女に言うようなセリフを。」



細めで正人を睨む。



「いや、何ていうか。

愛ちゃん、何か、店に来たとき、どこか

顔に曇りがあったんだよね。

それを、晴らしてあげたいって思って。」



「・・・ナルシストですか?」



「違います。」



お互い、苦笑する。



「そんな風に見えたの?私のこと。」



「見えたね。うまく言えないけど。」



「ふーん。

ね、いつか私と体の関係持てると思ってるでしょ。」



「ぶはっ!思ってない思ってない!」



「・・・そんな否定するか。」



「あ、いや、愛ちゃんに魅力が無いとかじゃなくて!

ほら、友達だから。」



「正直言って、ちょっとは思ってる?」



「ちょっとも思ってないよ。」



今日一番というくらいの笑顔で答えられた。



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時間も遅いので少し迷ったけど、

私の気持ちも変わらない内がいい。



その30分後、正人は私のもとに来た。



「ごめんね、返信するのも遅くなっちゃって!」



いつもと変わらない笑顔。



「お仕事、忙しかったの?」



「あ、ううん、そうじゃなくて。

あんまり早いと旦那さん、起きてるかなって。」



「は?そんな気を遣わなくていいよ。」



「いや、一応ね。あはは。

さて、時間も遅いし、どこ行こうか?」



「別にどこでも。ちょっと、話せる所がいい。」



「あ、じゃ近くでいいとこあるんだよ。」



そう言って、車を走らせた。



「愛ちゃんさー、どうして俺と会ってくれるの?」



「え?何で?会いたくない?」



「違う違う!愛ちゃん可愛いし、俺別に話し上手でもないし、

ちゃんと役に立ってんのかなって。」



「何それ?そんな事考えてるの?」



「そりゃ、考えるって。」



「じゃあ、正人は何でいつも来てくれるの?」




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「愛ちゃん、ビール。」


「ありがとう、加奈。」


真奈と佐久間さんはもう寝ていたけど、
加奈は私の晩酌に付き合っていた。


加奈は絵を描きながら、
りんごジュースを飲んでいる。


加奈はよく、私の晩酌に付き合った。


子供なんだし、本当は早く寝かせるのが親として
正しいのだろうけど、
加奈といるこの時間が大好きな私には、
それが出来なかった。


加奈は普段口数が少ないけど、
この時だけはたくさん話をするので、
尚の事、この時間を大事にしていた。


「加奈、寒くない?」


「大丈夫。愛ちゃん寒いの?」


「大丈夫だよ、加奈。」


にこっとすると、また絵を描き出した。


あー、やっぱり可愛い、私の加奈。


ふらふらするわけにはいかない、
そう自分に言い聞かせ、私は正人にメールを送った。


今夜、もう一切関わらないようにしようと、
心に決めた。


絵を描いたまま、気付いたら加奈が寝ていた。


加奈を寝室まで連れて行き、布団を被せた。


時間はもう日付を回るくらいになっていたが、
正人から返信のメールは無かった。


もう諦めて寝ようとした時、
携帯が鳴った。



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あかねちゃんには、何でも話せた。



普通、話したら引かれるような内容でも、

自分の事のように考えてくれて、

いつも受け入れてくれた。



「あかねちゃん、今度ご飯行こうよ。

相談あるのー。」



私は、正人の事を話そうと思った。



何を話すのか、自分でも良く分からないと

思いつつ、とにかく知ってほしかった。



「いいよー。来週なら時間、結構あるから。」



「分かった~私はいつでも時間あるから、

連絡してね?」



「はいはい、じゃあまたね。」



あかねちゃんは私にトマトジュースを渡し、

また仕事に戻った。



その日の夜も、一人で晩酌をしながら、

色んな事を考えた。



加奈と真奈の事と同じくらい、

正人の事を考えていた。



ただ、好きとか、そういうのじゃない。



よく分からないというのが、気になった。




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